一般社団法人 日本医療情報学会

[3-J-6-03] 多次元時系列構造化手法を用いた診療経過パターン抽出
- 診療データ抽出の患者単位から入院単位への変更による精度向上の検討 -

*石井 晃1、齊藤 敦子1、鈴木 英夫1、本多 正幸1、鈴木 隆弘1 (1. 千葉大学医学部附属病院企画情報部)

extraction of medical course, clinical knowledge-base, DWH

診療経過の時系列表示は、フローシートとして多くの電子カルテに組み込まれている。我々は、診療要素を時系列かつ多次元に構造化して表示することにより、疾患毎の標準的な診療経過パターンを検出する研究を行っている。初期の研究では、脳出血について電子カルテを閲覧することにより診療経過パターンに用いる診療要素(処方、注射、手術、画像、検体検査)の表示項目(時系列表示に用いる薬剤名、術式等)の選定を行い標準的な診療経過パターンを検出することができた。(JCMI2022)次に、急性心筋梗塞についてBIツールを用いて、病院情報システムのDWHから診療データを半自動的に処理して、表示項目を選定することにより作業を効率化することができた。(JAMIシンポ2023)さらに、抽出した診療データに対し、頻度情報を用いて各診療要素における表示項目を選定した。表示項目の選定にあたっては診療ガイドラインを参照することにより客観性を持たせることができた。(JCMI2023)しかし検体検査に関しては、頻度情報により表示項目を選定することが出来ず、高値のフラグとしてHがつくデータに着目して表示項目を選定した。(JAMIシンポ2024)これまでの研究を整理すると、病院情報システムのDWHのデータをBIツールで集計、診療要素の頻度、検査値のHフラグ等の情報により診療経過パターンを検出してきた。入院期間に限定せず患者単位で診療データを集計したため目的の疾患以外の診療データが混在することが課題となった。今回は、上記課題への解決策として患者単位から入院単位へ集計方法の見直しを行った。診療データの集計期間は、入院前に診断、検査が行われるケースを考慮して入院7日前から退院までを対象とした。今回は本手法を多疾患症例に適用した結果および精度に関して報告する。また、MID-NETアウトカムバリデーションで検証された結果との比較も含めて考察する。