Japan Association for Medical Informatics

[3-J-6-07] 妊産婦健診データおよび分娩時カルテから予測される母子健康アウトカムに関する研究

*Mariko Nishikitani1, Kimiyo Kikuchi2, Youko Satou3, Subaru Ikeda3, Akane Anai4, Rieko Izukura5, Fumihiko Yokota4, Rafiqul Islam1, Seiichi Morokuma3, Naoki Nakashima2,3 (1. 九州大学データ駆動イノベーション推進本部, 2. 九州大学病院, 3. 九州大学大学院医学研究院, 4. 九州大学アジア・オセアニア研究教育機構, 5. 宮崎大学医学部)

Text Mining, Health Checkup, Hospital Database, Maternal and Child Health, Predictive Model

【目的】院内データベースから妊産婦健診と分娩時の記録を抽出し、産前の健診記録から出産時及び産後の母子の健康状態を予測するモデルを作ることを目的とした。【方法】2017年7月から5年間に九州大学病院で出産した女性のうち、多胎を除く1095人を対象とし、妊娠22週以降の健診記録と産科合併症・産褥の経過を病院データベースより匿名下で抽出した(倫理審査許可番号22194-00)。基本属性の他、妊娠6か月、8か月、出産直前、出産直後の4時点における健診記録を抽出し、健康状態に関するカルテ上の記述はテキストマイニングで集計し分類した。児のアプガースコアの結果を含む母子の健康アウトカムを集約し、妊娠時の健診データとの関連を統計的に評価した。【結果】電子カルテの「産科合併症」の記載から高血圧合併妊娠などの高血圧関係、糖尿病、切迫早産、常位胎盤早期剥離などの分娩時合併症、胎児機能不全などの児の健康問題などが分類された。「産褥の経過」からは糖尿病、高血圧、貧血、感染症、子宮復古不全や輸血などの産後特有の健康問題、早産・低体重など児に関する健康問題の記載が抽出された。上記およびアプガースコアのいずれかで望ましくない健康アウトカムのあった対象は727人(66%)であり、高血圧関係145人(13%)、糖尿病関係116人(11%)、児に関するその他の健康問題315人(28%)、アプガースコアで仮死状態132人(13%)が含まれた。健診記録のうち非妊時の過体重、妊娠6か月時点でのヘモグロビン値や尿糖の異常、妊娠8か月時点での血糖値の異常、出産直前時点での尿タンパクの異常が統計的有意に関連していた。【考察】妊娠中の健診異常が出産時および産後の母子の健康状態を予測することが示唆されたが、測定時期によって予測に有効な項目があること考えられた。今後は同一日に複数多量の記録がある血圧データなどの健診記録を含めた予測モデルを検討する予定である。