[4-A-4-02] FHIR仕様CLINSの策定と標準化〜特にコード化について〜
日本医療情報学会NeXEHRS研究会FHIR実装検討WGでは2019年からFHIR R4を日本で普及していくために必要な実装ガイドを策定してきた。その成果はJP-Coreとして公表され[1]、我が国におけるFHIR実装方針の基盤として活用できるようになってきた。国が進める医療DXにおける電子カルテ情報共有サービス(以下ではCLINSという)では、FHIR仕様に準拠して記述された診療データを作成してサービス主体に送信する方針が採用されたのを受けて、このJP-Coreに準拠した上で、CLINS固有の仕様を策定し上乗せする形でのFHIR CLINS実装ガイドを策定してきた。JP-Coreとのすり合わせをしつつ、固有の実装ガイドを策定する上で、最も課題となったのは、(1)個人識別符号に何を採用し、どのリソースの範囲でそれを記述するか、(2)CLINSに送信する場合としない場合とでFHIR検証(Validation)のためのプロファイルをどう使い分けるか、(3)標準コードマスターのうちCLINSで使用する限定的コード範囲をどの様な方法で記述するか、(4)種々の組織が管理発番している標準コードマスターを識別する識別子(OIDなど)をどのようにとりきめるか、などで、他にも多くの課題の解決が必要になった。サービス開始までの期限が限られる中で十分に議論をし尽くせないまま見切り発車せざるを得なかった課題もあり、それらが一度普及してしまうと、容易に変更できなことを覚悟しつつ仕様は策定された。この発表では、標準化されたコードをFHIRで使用していくにあたって、これまであまり議論されてこなかったユースケース別のコードセットの識別の手法の課題とコード検証(正しくコーディングされているかの検証)との関係について論じ、「オブジェクトのコーディング」における今後の参考としたい。[1]FHIR実装検討WG. https://jpfhir.jp/fhir/core/index.html,2022-2024.
