Japan Association for Medical Informatics

[4-A-4-03] プロジェクタソン ~欧米での医療情報基盤品質確保のための知恵~

*Yasunari Shiokawa1 (1. Integrating the Healthcare Enterprise - Japan)

IHE(Integrating the Healthcare Enterprise)は、医療現場の情報フローに最適なシステム機能間の情報連携の実装要件について、HL7やDICOM等の標準規格をベースにガイドラインを整備し普及を目的とした国際組織である。情報フローは様々なユースケースを想定した「統合プロファイル」毎に整備され、その具体的な実装要件は「テクニカルフレームワーク」にまとめられている。IHEでは医療者と技術者が集まり、これらの文書を整備、公開しているだけでなく、「コネクタソン」というイベントを毎年開催している。参加企業が一同に会して各々の製品を実際に接続検証し、統合プロファイルを再現できるかを確認する場である。日本IHE協会でも同様に日本市場を対象にしたコネクタソンを開催している。一方、医療情報基盤の整備で先行する欧米では、さらにこの考えを発展させた「プロジェクタソン」を品質担保の場として採用し、整備プロジェクトを成功に導いている。プロジェクタソンはコネクタソンと異なり、その検証対象は個別プロジェクトが定める実装要件となる。広域、国家レベルでのインフラ基盤構築事業では、一般的なSI事業と異なり、その連携対象製品が多岐に渡る。また運営開始後も新たな製品参入があるため、プロジェクタソンの検証形態は理にかなっている。では、我が国の医療DXの根幹とも言える電子カルテ情報共有サービスはどうだろうか?2025年4月より段階的に導入が進むと想定されるが、対象製品はやはり多岐に渡るだろう。まさにプロジェクタソンの活用が適切ではないかと提案する。同サービスを今後、永続的に運営する際にも、プロジェクタソンの場を継続的に用意することで、新たな参入製品の実装品質とリスクヘッジが期待できる。