Japan Association for Medical Informatics

[4-B-1-02] 電子処方箋の普及に向けた提案 〜日常診療の現場から〜

*Takuma Takata1 (1. KOYO TAKATA Internal Medicine)

電子処方箋は紙ベースで行われている処方箋の運用を電子的に行う仕組みである。令和四年度から六年度まで660億円を超す予算がつけられて運用を開始している。医師が電子的に記載した処方箋データは電子処方箋管理サービスに一元的に収集され、薬剤師、調剤薬局は個別のデータを参照して調剤を行う。複数の医療機関で処方された内容をすぐに、かつ経時的に確認することが出来る、また重複投与や併用禁忌・注意薬、相互に影響を及ぼす可能性のある処方を抑制することが出来る、等の利点がある。疑義照会を電子化することで診療の手を止めず対応が可能となり、処方意図を明確に出来ることも利点となる。結果として医師・薬剤師・患者相互の円滑なコミュニケーションが得られるようになる。また収集された処方箋情報はビッグデータとしてヘルスケアに活用することが期待されている。一方で、導入および運用に際して継続的な費用、時間、労力の投入を要する。医療機関レベルでは電子処方箋に関連したシステムを使いやすくするために日々調整が必要となる。国家戦略レベルでは、引き続き発生するコストに対して費用対効果が適正なのか継続的な検証が必要である。また個人情報を取り扱う関係上、医療機関、国家それぞれにセキュリティや個人情報保護に関する責任と負担が生じる。電子処方箋システムの効果を最大化するためには、電子処方箋を用いる医療機関、調剤薬局、そして何より患者への理解と周知が肝要であり、継続的に利点を周知する方策と支援が求められる。当院では令和五年九月から電子処方箋を導入し、日々の診療に活用している。導入およびに運用に際しては当院電子カルテシステムのベンダーと密接な協議を行い、継続的な支援を得た。これら経験を踏まえて、当院での電子処方箋導入と普及についての報告を行う。