Japan Association for Medical Informatics

[4-B-1-03] マイナ受付利用率と同意取得率向上がもたらす医療安全の効果
~電子処方箋の視点からの検証~

*Mayuka Kanehira1 (1. NIHON CHOUZAI Co., Ltd.)

日本調剤旭薬局および日本調剤旭病院前薬局は、厚生労働省が2022年10月31日から開始した電子処方箋のモデル事業に参加し、その利用促進に取り組んできた。政府は医療情報の全国的な連携を目指し、医療DX施策を展開しており、その一環として2021年10月にはマイナンバーカードの健康保険証利用(以下、マイナ受付)が本格稼働し、2023年1月からは電子処方箋が導入された。さらに、2023年4月にはマイナ受付の利用が義務化され、これにより患者の薬剤情報を迅速かつ正確に把握できる新たな手段が注目されている。
現在、マイナ受付を通じて保険薬局で閲覧可能な情報には、「過去3年間の薬剤情報」および「同成分の重複投与や併用禁忌のチェック」が含まれており、これによって医療機関、保険薬局、患者間での医薬品データの連携が強化され、医療の質向上と医薬品の効率的な利用が期待されている。しかし、「重複投薬および併用禁忌チェック」は、同成分に限定されており、同種同効薬のチェックには対応していないという課題がある。また、マイナ受付を通じて情報を閲覧するためには、利用者のシステム上の同意が必要であり、未利用者は口頭での同意が必要となるが、患者の理解が十分に進んでいない現状がある。
マイナ受付の薬剤情報を最大限に活用するためには、利用促進と同意取得率の向上が重要である。日本調剤旭薬局および旭病院前薬局では、患者に対してマイナ受付の利用を積極的に推進し、これにより保険薬局における電子処方箋の導入がもたらす具体的な効果について検証した。特に、医療安全の向上や医療費削減への貢献を評価し、さらに電子処方箋を利用した患者を対象にアンケート調査を実施して、満足度や利便性に関する考察も行った。本シンポジウムでは、これらの取り組みを通じて得られた知見と、電子処方箋の今後の普及に向けた課題について議論したい。