一般社団法人 日本医療情報学会

[4-B-2-01] 標準用法用語集における日本病院薬剤師会の役割と取り組み

*高田 敦史1 (1. 九州大学病院 メディカル・インフォメーションセンター)

標準用法用語集は、厚生労働省の提言を受け、日本薬剤師会と日本病院薬剤師会により制定された。平成22年に第1版、平成28年に注射用法を加えた第2版が公表された。日本医療情報学会によりコードが付与されたものを「処方・注射オーダー標準用法規格」として公表しており、厚生労働省標準(HS027)に採択されている。

標準用法用語集は頻繁な改訂を必要としない性質上、当初はその改訂手順が明確に定められていなかった。しかし、近年の医療DXの進展や新規医薬品の開発に伴い、新たな用法の追加需要が高まってきている。それゆえ、用語集の更新プロセスの重要性が再認識されることとなった。

このたび、AMED事業の「Real World Evidence創出のための取組み(臨中ネット)」の標準化WGから、食事中に使用する医薬品の用法に関する指摘を受け、日本病院薬剤師会として具体的な検討を行うこととなった。医療情報システム小委員会では、根拠の妥当性、添付文書の表現、実臨床での使用状況、他の用法との区別などを重視して議論した結果、「食事中」という表現で追加することが決定し、日本薬剤師会との協議を経て、日本医療情報学会に「第2.1版」としての更新を通知した。

一方、電子処方箋管理サービスに登録するための用法(電子処方箋用法)についても、追加要望に応じて検討する枠組みが制定されつつある。標準用法用語集と電子処方箋用法との齟齬については、関連諸団体から懸念が示されており、日本病院薬剤師会としても混乱を最小限に抑える努力を継続する。この取り組みを通じ、日本病院薬剤師会としての標準用法用語集の維持・更新における役割を再認識した。今後も医療現場のニーズに即した用語集の充実化を目指し、継続的な改善と普及啓発活動に取り組んでいく所存である。