[4-B-4-01] 大規模災害時におけるデータマネジメントの課題
- 災害情報活用プラットフォーム (EDiSON)の研究開発と令和6年能登半島地震を踏まえて –
令和六年に発生した能登半島地震では、道路などのインフラが甚大な被害を受け、多くの住民が指定避難所に避難できず自主避難や地域で孤立する事態が発生した。発生直後から対応にあたった自衛隊や災害医療チームなどの緊急事態対応チームは、それぞれのデジタルツールを用いて被災状況や避難状況を収集し、基礎自治体が未収集の情報を掴んでいた。自治体が収集する公的な指定避難所の情報と、自衛隊や災害医療チームなどが収集する自主避難所、福祉施設、孤立集落の情報を統合しなければ、避難所の全容を把握できず被災者に必要な物資や支援が届かなくなる可能性があった。弊社は、「防災DX官民共創協議会」からの要請を受け石川県と連携し、避難所データを集約・可視化するアプリケーションの仕様を定め実装を行い3日で提供した。この緊急対応での起きた問題、さらには恒久的な対応について提言を行う。この問題はデータやシステム的な問題だけではなく、避難所としての扱いや人的支援・物資支援の範囲という行政の意思決定にも関わってくる。今回のような大規模災害では、様々な役割や目的を持った支援が参入するため避難所や避難者を起点にした様々なデータが発生する事、異なる組織で異なるツールを使う事により避難所や避難者など多種多様なデータ突合や統合が発生する可能性が高い。これを解決するためのルール化やガバナンスの強化、更にはシステム間の非有機的なシステム間連携やデータ連携基盤などの事前準備の重要性について提言すると共に今後の広域災害を見据えた多組織・自治体間連携と情報のインテリジェンス化について提言する。
