一般社団法人 日本医療情報学会

[4-B-4-02] 令和6年能登半島地震対応におけるDMATの情報管理

*田坂 勇太1、若井 聡智1 (1. 独立行政法人国立病院機構本部DMAT事務局)

【緒言】本災害の本質は、甚大な被害のある地域が孤立していたこと、そしてその地域では高齢化率が高かったことである。その中で、病院・社会福祉施設・避難所において、防ぎえる災害による死亡、悲劇の低減を図った。各場面で実施した情報管理について報告する。【課題の把握・整理】EMISで病院被災状況を把握し、倒壊の恐れなど「場の安全」が確保できない2病院に対して迅速に避難を実施した。福祉施設については当初電話で聞き取り調査を行いExcelにまとめていたが、スプレッドシートを使用した時期を経て、kintoneによる情報共有体制を導入した。また、孤立した集落・避難所に対して医療提供継続・医療アクセスを確保する必要があった。そのため、活動した医療チームや関係機関が収集した道路状況や集落・避難所の情報はISUTサイトで地図上にプロットされた形で共有され、活動計画の策定に活用した。さらに、同サイトの情報を参集予定のDMATに共有して、各隊の事前準備、活動計画に生かすことができた。【対応方針の決定】必要な医療チーム数の見積もりは、①外来受診患者数②医療チームの対応患者数③診療所の復旧状況④支援が必要な福祉施設数を考慮して算出した。このうち、②についてはJ-SPEED、③についてはJMATから情報を得た。定期的に必要数を算出し、徐々に活動規模を縮小させた。【情報共有】石川県保健医療福祉調整本部においては、主に定時ミーティング時に多組織間の情報が共有され、システムで統合された情報は少なかった。そのため多くのアナログ的な情報処理が必要となった。【今後の展望】新EMISを含む次世代システムには、異なるシステムで収集された情報を統合し可視化することによって、迅速な意思決定に資することが求められる。