Japan Association for Medical Informatics

[4-B-4-03] 令和6年能登半島地震における地域医療情報連携ネットワークの活用について

*Kaori Miyaji1 (1. Ishikawa Prefecture)

令和6年1月1日、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6、最大震度7の地震が発生し、奥能登および中能登の6市町を中心に、死者318人、住家の全半壊2万2千棟余りにのぼる甚大な被害をもたらした。
水道、電気、通信等のライフラインが広範囲で寸断される中、医療機関においても施設や設備の損壊が著しく、医療スタッフの多くも被災したため、診療体制の縮小を余儀なくされ、DMATや自衛隊の支援で入院患者の金沢以南への転院を進めた。また、被災者の災害関連死を防ぎ、生活環境の改善を図るため、県内外のホテル・旅館等の2次避難所や、主に高齢者等の要配慮者に対応する1.5次避難所を開設し、被災地からの避難を進めた。
緊急時で転院患者の十分な情報がなく、また避難者の多くが高齢者で持病を抱えていることも予想されたため、被災地と避難先で診療情報共有の必要性が高まった。そこで、県内全域に整備された地域医療情報連携ネットワーク「いしかわ診療情報共有ネットワーク」(いしかわネット)について、患者同意の取得の簡略化等からなる臨時運用ルールを策定して利用を促し、多くの利用がなされた。
今回の災害では、避難先の医療機関での診療や被災地での巡回診療など様々な場面に応じて、いしかわネットとともにオンライン資格確認等システム(災害時モード)が活用され、医療機関間で適切に情報共有が行われたと考えている。
一方で、指定避難所以外や被災地外に広域避難する被災者の把握や情報共有が大きな課題となり、県で避難元や避難先で情報共有する被災者データベースを構築することとした。これにより、集約した情報を被災市町に提供し、被災者への情報発信や見守りにも活用されている。
災害時に円滑・適切に情報共有が行われるよう、近く運用開始される全国医療情報プラットフォームも含め、各システムの役割を整理し、どのように運用・活用していくか検討する必要がある。