[4-C-1-02] SIP第3期・医療機器・材料の収集分析システムの構築を通じた三方良しの医療イノベーションの実現
これまでの多くの実証研究により、GS1バーコードを活用した医療機器の使用入力は、医療現場の効率化、医事請求の適正化に貢献することが示されている。一例をあげると、SIP第二期スマート物流では、看護師の材料登録業務時間が30%、医事課職員の保険請求業務時間70%短縮され、使用材料の適正な登録がなされた結果PCI症例の材料費請求額は3.26%上昇している。しかしながら、未だその普及が一部の先進的な医療機関にとどまっている。本研究開発事業では、バーコード、RFIDによる使用入力システムを医療機関のコスト負担を軽減するために、SPD事業者等が自社の業務支援の一環として各医療機関にバーコード・RFID機器を導入するビジネスモデルの構築を進めている。これによりSPD事業者の業務改善とともに、使用入力を行っている看護師や医事請求を行っている医事課職員の負担軽減、医事請求の請求漏れ防止などを目指している。また、各医療機関における預託品の在庫情報をディーラーと共有する仕組みの開発を進めており、滅菌期限切れが近いデバイスに対する早期の対策の実現を目指している。預託品の破棄率は、あるメーカーの内部調査では7%にのぼるため、この仕組みの実現は大きなメリットがある。医療機関経営に関しては、精度の高い経営分析が求められているものの、支出のうち12~15%を占める医療材料については、実際の使用状況が全く把握されていない。本研究で開発導入を進めつつあるシステムを利用して実際に使用材料データをもとに、精緻な分析と対策の提案を医療機関に行う仕組みの開発を進めている。本研究事業では、医療機関、医学研究者、SPD事業者、医療機器ディーラー、メーカーなどすべてにメリットがある事業モデルを計画しており、医療機関に加えて、医療産業界を含めた日本の医療全体のイノベーションと持続性を高めることに貢献すると考えている。
