一般社団法人 日本医療情報学会

[4-C-1-03] 九州大学病院におけるリアルワールドデータ利活用を考慮した物流管理と標準コード運用

*山下 貴範1、西山 謙2、吉崎 真司1、竹内 友里1、中島 直樹1,2 (1. 九州大学病院、2. 九州大学大学院医学研究院)

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我が国では人口減少・少子高齢化に伴い様々な社会課題が顕在化している。政府の医療DX政策として、電子カルテ情報の標準化などが示され、医療DX推進の方針が明確に打ち出された。各病院は安定した経営を維持しつつ、医療DXの対応を通して質の高い医療サービスの提供が求められる。そのためには、病院院情報システムに蓄積されたリアルワールドデータ(以下、RWD)を最大限に活用することが重要である。
本院では良質な経営と精度の高い物品管理のために、「物流・電子カルテ・オーダー・医事・部門」のシステム間でマスタを横断的に管理する統合マスタを運用している。これによりマスタの一元管理と収支データを対象とした病院経営管理が可能となった。抽出された運用課題は現場との調整に活かされている。本学別府病院では、2024年7月より病棟材料の運用をバーコードからRFIDへ切り替えた。RFIDは、院外倉庫から院内倉庫、病棟において追跡でき、消費数の把握や棚卸しの効率化により、更なる物流管理の精度向上と医療従事者の負担軽減が期待できる。
RWD活用のためには、データ品質の維持・管理が認識されており、その一つに標準コード管理がある。標準コードは自院のマスタに対してマッピングが必要であるが、マスタ情報は日常的に更新されるため、その効率化や自動化などが課題である。AMED事業「医療施設における標準コードの効率的なマッピング手法に関する調査および実証研究(代表・中島直樹)」では、医療施設が容易に標準コードをマッピングできる、より現実的な手法を検討しており、電子カルテシステムよりも上流の物流システムや医療専門職が管理する部門システムでの標準コードマッピングが正確性や作業効率において有利であると考え、実証機関にてシステム構築を進めている。
本発表では、RWDの利活用面からみた物品管理と標準コードの運用の実例を紹介し、議論を深めたい。