Japan Association for Medical Informatics

[4-C-2-01] OHDSIコミュニティにおける連合分析―海外の事例の紹介―

*Keiko Asao1 (1. Kappa Medical K.K.)

連合分析は複数のデータホルダーが協力して分析するための方法であり、健康や医療に関するエビデンス生成を目指す国際的なオープンサイエンスコミュニティであるOHDSIでは極めて重要な役割を果たす。OHDSIの連合分析は、LEGENDと呼ばれる原則がアプローチとして確立し、事例が蓄積してきている。OHDSI関連の動きとして、欧州医薬品庁等により医薬品の使用や安全性・有効性に関するリアルワールドエビデンス生成のためDARWIN EU(R)が2022年に発足し、OHDSIにより開発・維持されているOMOPが共通データモデルとして採用されている。一方、OHDSIコミュニティでは、多国・多地域のデータを用いる連合分析が数多く実施されている。COVID-19に関しては、小児・若年COVID-19患者の検討ではEU、韓国、米国のデータが、また、自己免疫疾患を持つ患者のCOVID-19による30日転帰の検討では、米国、スペイン、韓国のデータが用いられ、パキスタンとブラジルでもCOVID-19の臨床的特徴が評価された。また、大うつ病性障害から双極性障害への移行に関する患者レベルの予測モデルを米国の5つのデータベースを学習データとして用いて構築し、日本や韓国のデータを含む9つの外部データセットを用いてバリデーションをした検討が発表されており、興味深い。これらの事例は、連合分析のエビデンス生成への貢献ととともに、欧米のみならず、アジア地域における連合分析の進展を示しているといえるだろう。