一般社団法人 日本医療情報学会

[4-C-2-02] CyberOncologyプロジェクトにおける連合分析への取組

*松本 繁巳1、田中 幸介1、Liying Pei3、岡田 昌史3、武藤 学2 (1. 京都大学大学院医学研究科リアルワールドデータ研究開発講座、2. 京都大学大学院医学研究科腫瘍内科学講座、3. 新医療リアルワールドデータ研究機構株式会社)

Real World Data(RWD)の活用によるReal World Evidence(RWE)の構築体制が求められている。近年のがん領域におけるPrecision Medicineでは、患者背景・治療に関する情報に加えて患者特有のバイオマーカーを含むゲノム情報も求められ、さらに有効性・安全性や予後情報のアウトカムが必須である。多施設の電子カルテ(EMR)からこれらのRWDを効率的に収集し分析するには、個人情報保護法や倫理指針はじめとする様々な規制や課題があった。そこで、我々は電子カルテの入力支援ツールであるCyberOncologyを開発し、テンプレート入力によりEMRベンダーによらない標準化した情報を各施設でデータベース化し、各統計情報の収集を可能にする連合分析モデル(Federation Model)を構築した。さらに、2023年4月から、全国のCyberOncology導入済25施設とJ-CONNECTコンソーシアムを形成し、悉皆性の高いRWDを収集するために、各施設のがん登録情報を利活用して、アルゴリズム等を用いてエフォートレスにCyberOncologyにデータベース化している。しかし、これらのビッグデータを利活用しRWEを創出するためには、様々な解析ツールを必要とするため、今回、AMEDの支援を受けて、AIMGAIN(武藤班)「がん診療の質の向上と研究開発に資するリアルワールドデータプラットフォーム開発」プロジェクトが採択され、その1つのプロジェクトとして、CyberOncologyの標準化マスタをOMOP化し、OHDSIのオープンソースを用いた様々な連合解析を可能するプラットフォームを開発することを目的としている。この新しいプラットフォームにより、国内外のデータベースとデータシェアリングして連合分析が可能になると考えられる。