Japan Association for Medical Informatics

[4-C-2-03] 次世代医療基盤法に基づいて収集したデータにおける連合分析への可能性

*Nobuo Mochizuki1 (1. TOPPAN Holdings Inc.)

蓄積された医療情報を利活用し、健康・医療に関する先端的研究開発および新産業創出を促進することを目的とする次世代医療基盤法に基づいて収集したデータ(次世代医療基盤法事業者データ)の特徴としては名寄せされた多様な情報、特に臨床検査値や非構造化データから抽出したアウトカム情報を含むデータベース(DB)を構築可能であることである。
 次世代医療基盤法に基づく認定匿名加工医療情報作成事業者である一般財団法人 日本医師会医療情報管理機構(J-MIMO)より匿名加工医療情報の提供を受け、TOPPANホールディングス株式会社は2024年7月時点で約120万人分の電子カルテ由来のDBを構築し、Webツール(DATuM IDEA®)によるDB概要確認環境の提供および解析レポート作成、データセット提供を実施している。このうちデータセット提供用のDB構成として国際共通規格であるOMOP CDMへの対応を進めている。
 2024年末には電子カルテ、レセプト、DPC調査由来の名寄せされたデータを取り扱うことを予定しており、OMOP CDMに対応するOHDSIツールを用いて解析された統計情報を国内外のDBと連合分析することによって、より多様なニーズに応え医療へ貢献していくことが可能と考える。
 さらに2024年6月に施行された改正次世代医療基盤法では薬事申請への活用のため仮名加工医療情報の米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)、英国医薬品医療製品規制庁(MHRA)への第三者提供も想定されている。これにより例えばEUにおいてOMOP CDMへの対応によりヘルスケアデータのネットワークを管理するEMA のDARWIN EUと連携しエビデンス創出に貢献し、必要時にEMAへの第三者提供を行うといった取り組みが可能となることも将来想定される。