Japan Association for Medical Informatics

[4-C-2-05] 患者情報を保護しつつオープンに実施する分析イベントStudy-a-thon

*Tatsuo Hiramatsu1 (1. International University of Health and Welfare)

OHDSIコミュニティでは様々な連合分析活動が実施されているが、その中でもStudy-a-thonとはイベント参加者が短期間に集中して取り組む、オープンなOHDSI分析イベントである。主に欧州OHDSIで行われてきた活動で、IT分野で行われるハッカソン(hackathon)にちなんで名づけられた。Study-a-thonではオープンな場で実医療データを対象とする分析を実施するために連合分析の仕組みを活用する。分析の設計とプロトコル実装自体は、模擬データ等を用いてオープンに開発する一方、実データに対する適用は、協力データホルダーに連合分析手法にて委託し、分析プログラムをデータホルダーが実行してその結果だけをStudy-a-thon参加者は受け取る。確立されたCDMとその共通環境を用いてデータとプロトコルを分離することで、患者情報保護とオープンな分析とを両立させている。COVID-19パンデミック発生当初2020年3月には、急遽全面的なリモートイベントとして国際開催され、30カ国以上から参加があり、その時点で使用できるデータを用いて分析を実施した。連合分析を広くオープンに実体験できるイベントであり、日本でも今後のStudy-a-thon実施にむけ準備を進めていきたい。
 そのほかの連合分析関連の活動についても紹介する。たとえば国内OMOPネットワークでは、いくつかの大学病院が相互連携し国内であるいは海外と連合分析ができる基盤の形成を目指している。さらに複数の連合分析ネットワークを相互連携して大規模なネットワークを形成していくアプローチについても進行中である。他国ではあまり見ない活動としては、グローバルサウスを中心とした海外を含む予防医学・健診データの連合分析の基盤形成にも取り組んでいる。