一般社団法人 日本医療情報学会

[4-C-4-01] 一般社団法人PHR普及推進協議会「PHR標準項目・規格作業班」の活動概要

*山本 景一1、高橋 翼2、新井 冨久子3、澤田 砂織4、島本 大也5、山下 暁士6,7 (1. 大阪歯科大学、2. 合同会社beyondS、3. シミックホールディングス、4. 公益財団法人京都高度技術研究所、5. 京都大学、6. ナゴヤガーデンクリニック株式会社、7. 名古屋大学医学部附属病院)

Personal Health Record(PHR)とは、個人の生活に紐付く医療・介護・健康等に関するデータ(Person Generated Data: PGD)を本人の判断のもとで利活用する仕組みである。一般社団法人PHR普及推進協議会「PHR標準項目・規格作業班」は、PHR サービス間のデータ交換規格に注力して調査・検討を行っている。今年度は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「医療高度化に資する分散管理型PHRデータ流通基盤に関する研究開発」と連動・共同作業を行った。PHR 利用者はライフステージや趣向に応じて複数の PHR サービスを同時または乗り換えて利用していくことが考えられ、また PHR サービスが取り扱うデータの種別は健診等情報からライフログまで多岐にわたるため、一事業者があらゆる利用者に対応した PHR サービスを提供することは現実的ではない。加えて PHR サービスの終了や PHR サービス事業者の統廃合も生じることが考えられる。PHR サービス利用者の権利を守り PHR 産業の健全な発展を促すために、PHR 事業者間での連携が不可欠である。作業班の目的は、我が国の PHR サービスの発展への寄与を目指し、現実的かつ効果的に PHR データを流通させるために様々なステークホルダーが共通で利用できる必要最低限のデータ交換規格を早期に提示し、PHR データの相互利活用基盤の構築を促すことである。既存の PHR に関わる規格の調査と整理を行い、現時点で推奨される規格「PHR標準データ交換規格」を提案する。PHR 事業者は、新規サービスの検討やアプリ開発その他において独自仕様を考案する必要がなく、仕様策定の際の工程が簡略化され、考慮漏れ等のリスクが軽減される。また、他の事業者との協業や新事業創出、スマートシティでの活用など、将来的な PHR データ利活用が大きく進展することが期待される。