一般社団法人 日本医療情報学会

[4-C-4-04] AMED「医療高度化に資する分散管理型PHRデータ流通基盤に関する研究開発」PHRデータ流通の実証

*島本 大也1、西岡 典弘1、今村 知彦1、吉村 聡志1、立山 由紀子1、難波 真人1、石見 拓1 (1. 京都大学大学院医学研究科)

Personal Health Record, Electronic Health Record, Data Exchange Standard, Data Distribution Infrastructure

京都大学医学研究科 予防医療学分野では、石見拓教授主導のもと、日本医療研究開発機構(AMED)の「医療・介護・健康データ利活用基盤高度化事業(医療高度化に資するPHRデータ流通基盤構築事業)」として、2023年度から2024年度にかけて「医療高度化に資する分散管理型PHRデータ流通基盤に関する研究開発」を進めている。
個人の経時的な健康記録であるPHRを活用することで、診察の精緻化・個別化・Patient Reported Outcomeの活用・遠隔診療との相乗効果など、医療の高度化・質の向上が期待されている。しかし、PHRと医療における電子的なレコード(EHR)とが連携した事例は乏しいため、本人・家族の意思の下で複数のPHR-EHR間のデータ交換を実現する「分散管理型PHRデータ流通基盤」を開発・実証し、成果物を公開することが、本事業の目的である。この事業はPHR普及推進協議会、PHRサービス事業協会、日本医師会との協力により、PHRに関わる当事者同士で意見交換を行いながら進められている。PHRの代表的なユースケースとして、救急災害領域と生活習慣病領域において関連学会・団体とコンセンサスを得た項目についてデータ交換規格を定め、PHRデータ流通基盤を介したPHR-EHR間のデータ流通のシステム検証、臨床フィールドでの実証と課題抽出、ユースケースの提案を行うことが目標である。また、生活習慣病領域における無作為化介入試験により、PHR-EHR間のデータ連携が実現した際に見込まれる医学的効果の検証も並行して実施している。本発表においては、各領域におけるPHRデータ流通基盤の運用実証の経過・状況および、無作為化比較試験によるPHR-EHR間のデータ連携効果検証の経過とその展望について紹介する。