Japan Association for Medical Informatics

[4-D-1-02] コアな診療記録の有効な共有のために ~医師の立場から~

*Sunao Watanabe1 (1. Medical Information System Development Center (MEDIS-DC))

コアな診療情報をいつでもどこでも獲得できる枠組み,コンテンツの整備が喫緊の要請であることは明瞭であり,厚労省はまずは“6情報”(傷病名・アレルギー情報・薬剤禁忌情報・感染症情報・検査情報・処方情報)の共有の具現を図るべく,「電子カルテ情報共有サービス」の構築を各医療機関に求めている.そのための共通基盤としてHL7 FHIR規格の枠組みを用いることは明確に示されているが,では,電子カルテの中のどこに,どのような形でコア情報を収録し,これをいかに更新しつつ最新情報として随時一括発出できるようにしておくか,に関してはいまだ具体的なガイダンスが定められていない現状である.退院時要約等の診療記録に関する標準化推進合同委員会(医療情報学会・診療情報管理学会)はこの点に鑑み,2024年3月に「随時サマリー(update summary)構築のためのガイダンス」を作成,医療情報学会の公文書としてHPにも公開した(https://www.jami.jp/jamistd/discharge-summary/).ここでは電子カルテの構造のどこにコア情報をどのような枠組みで入れるべきか,コンテンツの具体的なあり方はどのようなものか,それをどのように更新し,必要に応じて表示したり,診療情報提供書内に嵌め込んだり,退院時サマリーの枠組み内の記載と共有したりできるかについて解説している.コア情報の有機的な連携とアップデートしたコンテンツの保持である.特にコア中のコアである傷病名については,包括的な患者健康管理の最重要アイテムとして捉え,そのあり方について明確な方策を提起し,この部分へのカルテ監査の重要性についても触れている.コンテンツをいかに整備するか,そのcodingの定めとともに内容の監査も含めた統合的な取組みが求められているのであり,そのもとで初めて質の高いコア情報の共有が実現できるのである.