一般社団法人 日本医療情報学会

[4-D-1-03] 看護師の立場から

*宇都 由美子1 (1. 鹿児島大学病院医療情報部)

昨年の連合大会において、渡邉直先生のorganizeにより「標準化された診療サマリー・次なるステップは?」というテーマで、ICF(国際生活機能評価)準拠の生活機能サマリーとして「鹿児島モデル」の構築について発表させていただいた。鹿児島モデルの実証実験用アプリケーションソフト(app)の開発を行い、鹿児島市内及び与論町の医療機関、介護施設18か所を訪問しappをインストールした。高齢者の視覚・聴覚など感覚機能の状態、歩行など移動機能、食事、着替えなどの日常生活機能、認知に関する機能など23項目について、各0点から4点で評価を行った。この評価のためのリファレンスとして、介護担当者が日常的に使用し、その評定法に慣れている「要介護認定調査票」(修正版)を用いることにした。これによって医療側でも介護側でも同じ評価法と判断基準に従って、23項目について妥当性の高いICF gradeの生活機能障害度評価を行うことが可能となる。
 今後、2024年12月を目標にクラウド化し、一人の生活機能の変化について蓄積することを目指している。今回、再び渡邉先生のorganizeにより、「診療記録の標準化.その実際と方向性~真に有効な情報共有のために~」について、看護の立場から話題提供を行う機会をいただいた。昨年に引き続き「鹿児島モデル」への取組から得られた成果について報告を行いたい。地域包括ケアシステムでは、急性期医療機関から在宅に至るまで、その人の生活機能を共通の指標で評価し、蓄積していくことが重要である。従来看護サマリーがその役割を担うべきであったが、様式として標準的な規定がなく、看護本来の役割であるその人が望むような生活・暮らしへのライフサポーターの視点での要約になっていないという問題点を抱えている。鹿児島モデルの構築を通じて、看護-介護情報連携による真に有効な情報共有について考える機会としたい。