Japan Association for Medical Informatics

[4-D-3-01] 分散型臨床試験(DCT)におけるデジタルテクノロジーの役割と実装の課題

*Kouta Funakoshi1 (1. Kyushu University Hospital)

近年、患者中心の医薬品開発という概念が台頭し、その実現手段として分散型臨床試験(Decentralized Clinical Trial: DCT)が注目を集めている。DCTは、従来の来院型試験と比較して、以下の利点を提供する:
1.研究参加者の負担軽減
2. 患者リクルートの加速
3. 研究参加者の多様性向上
DCTの実施には、治験実施医療機関を中心に、研究参加者の自宅、訪問看護師、地域の医療機関などとの連携が不可欠である。その実現には、以下の3要素を並行して整備する必要がある:
・法規制の整備
・デジタルテクノロジーの活用
・運用体制の確立
本発表では、DCTを支えるデジタルテクノロジー群に焦点を当てる。これらの技術は必ずしも最先端のものではないが、治験という特殊な臨床試験の文脈において重要な役割を果たす。
治験データの信頼性確保は、新薬・新医療機器の承認申請において極めて重要である。しかし、過度に厳格な対応は現場に多大な負荷をかける可能性がある。そのため、法規制遵守と現場の負担軽減のバランスを取りつつ、デジタルテクノロジーを効果的に活用することが求められる。
本発表を通じて、DCTにおけるデジタルテクノロジーの実装に関する課題と展望について議論し、より効率的で患者中心の臨床試験の実現に向けた示唆を提供する。