Japan Association for Medical Informatics

[4-D-3-02] 品質保証と効率化を念頭においた治験のDx化 〜eWSの事例を参考に〜

*Eri Matsuki1 (1. Keio University School of Medicine)

Clinical Trials, eWS, Quality Assurance, Digital Transformation

デジタル(Dx)化により、効率的な治験の実施を可能にする取り組みが世界的に注目を集めている。治験におけるデータの収集は、診療上発生する各種データが電子カルテ(HIS)や紙を含めたその他の媒体に記録され、原資料として保管される。これらのデータおよび治験に固有のデータで必要な内容は、多くの場合紙のワークシート(WS)に収集された上で、治験依頼者が用意したElectronic Data Capture (EDC)システムに入力される。一連のデータの流れの中で、EDCに収集されるデータの信頼性を担保するために、モニタリング・監査による品質保証だけでなく、記録されるデータそのものについて、ALCOA+と呼ばれる、データインテグリティ対応のための原則に則った記録が推奨されている。治験のDx化を進めるにあたっては、このようなデータの品質保証を担保することと同時に効率化を推進できるシステムを構築する必要がある。臨床研究中核病院では、2022年度より、紙で運用されていることが多いWSを、電子カルテに装備されているクリティカルパスシステムを活用しDx化した、eWSの開発を進めている。eWSを用いることで、治験に必要なデータを構造化して電子カルテから抽出し、変換ツールを活用して各種EDCにアップロードすることが可能である。検査値などのデータを直接収集することが可能であることから、転記の手間やミスを最小化することができる。一方で、信頼性担保のためには、データをHISから抽出してEDCにアップロードする一連の流れについてのSource Document Verification (SDV)を行い、品質担保をする必要がある。eWS開発を通じて明らかとなった、Dx化において留意すべき点、品質保証を含めて効率的に行うためのSDVについての考え方などの課題について、本講演では共有する。