Japan Association for Medical Informatics

[4-E-1-04] LLMを用いた電子カルテデータからの疼痛症状の予測

*Yurika Hirata1, Yusuke Kadono1, Kohei Yamashita1, Tsuyoshi Yamamoto2, Tadamasa Takemura1 (1. 兵庫県立大学大学院 情報科学研究科, 2. 大阪警察病院)

Electronic Medical record, Large Language Model, Pain, prediction

【目的】
疼痛は多くの疾患における主要な症状であり、患者の不安の要因やストレッサーであることが知られている。患者は自分の病気について専門的な知識を持たないため、治療や病状に伴う変化を予測できないことが、疼痛への不安を増大させる原因と考えられる。そのため、疼痛予測を行うことは安心して入院生活を過ごす上で重要な役割を果たす。一方で、テキスト分類や文章要約などのタスクを解くことができる大規模言語モデル(LLM)が近年注目されており、これは医療分野も例外ではない。また、 LLMはプロンプトに入力した内容を考慮した上でタスクを解くことができると知られている。そのため、プロンプトとして患者の電子カルテのデータを入力することで、患者ごとの状態予測を行える可能性がある。よって本研究では、院内を想定したオンプレミス型LLMにカルテデータをプロンプトとして与えることにより、患者の現在の治療状況に沿った疼痛予測が行えるか検証を行う。
【方法】
電子カルテデータからランダムに患者の4日間のカルテデータを200件抽出した。その後、Cohere社のCommand R+を用いて、1~3日目の電子カルテの記載内容をプロンプトとして与え、患者が強い痛みを感じるかの予測を行った。評価は、4日目の処方、注射に関するデータとカルテの主訴データから痛みの有無を判定し、予測結果との比較を行った。
【結果】
評価を行ったところ、正解率が0.625、適合率が0.573、再現率が0.656、F1スコアが0.611となった。
【考察・結論】
結果より、オンプレミス型 LLMを用いて現在の治療状況に沿った疼痛予測を行うためにはさらなる改善が必要と考えられる。今後は入力するカルテの内容の精査や、他の LLMを使用した実験等も含め検討を行いたい。
【倫理的配慮】
本研究は大阪警察病院倫理委員会の承認を受けて実施した。(承認番号1817号)