一般社団法人 日本医療情報学会

[4-E-2-02] スマートウォッチによる生体データ自動取得と機械学習を用いた肥満症の個別行動療法

*小野 啓1、片山 智彦2、西牧 由佳子2 (1. 千葉大学医学部附属病院, 2. FrontAct株式会社)

Obesity Disease, Smartwatch, Machine Learning

【目的】肥満症の行動療法における携帯アプリの効果はアドヒアランス不良により限定的である。患者ごとに体重変化の原因が異なるのに対し,アプリからのアドバイスが定型的で個別化されないことが問題点と考えられる。
【方法】本研究ではスマートウォッチから自動取得した身体活動や睡眠データ,写真判定による食事データ,体重計から体重および体脂肪率を収集し,体重や体脂肪の変化に寄与する因子を複数の機械学習モデルで解析した。
【結果】6名の健常人と5名の高度肥満症患者から226±63日のデータを得,うち132±67日は全要素が揃うデータセットとなった。線形モデル,ランダムフォレスト,アダブースト,サポートベクトル回帰,および深層学習による時系列分析を比較すると,予測力の高いモデルは個人により異なっていた。意外にも運動翌日には体重が増加する人が多いことも判明した。最も寄与度の大きい要素として,食事因子と睡眠因子に個人によって二分された。
【考察】スマートデバイスの使用により,診察時や患者記録では得られない因子を長期に収集でき,体重や体脂肪に影響が大きい意外な因子を見出せる可能性が示唆された。
【倫理的配慮】本研究は千葉大学大学院医学研究院倫理審査委員会の承認を得て実施した。