Japan Association for Medical Informatics

[4-E-4] 歯科診療情報標準化の現在地

*Yusuke Ida1 (1. The University of Tokyo Hospital)

日本医療情報学会「歯科・口腔医療情報における交換・連携に関する研究会」では、診療・検診・身元検索など多様な場面における歯科情報の利活用について議論してきた。なかでも歯科診療情報は、他の医療分野と歩みを一つに標準化規格の策定が進んできた領域である。しかし残念ながら策定されてきた標準規格の使用実績は未だ乏しく、斯界において定着しているとは言えない状況である。その理由として本邦の歯科医療の主体が小規模な診療所であること、医療機関間連携の乏しさなどの指摘もある。そこで、本シンポジウムでは、(1)歯科診療情報の標準化の実務者からの現在進行中の規格の提案の議論を概観する。まず、井田(東大)より周術期等口腔機能管理にかかる情報連携規約の整備について、苅谷氏(藤田医大)よりFHIR JP Core日本版実装ガイドにおける歯科口腔分野の取り組みについて、玉川氏(日歯・阪大)よりISO/TC215におけるDental Data Exchangeの議論についてそれぞれの取り組みの理念や、想定されるユースケースを含めて解説いただくことで、各標準への理解が深まることが期待される。(2)歯科用コンピューター業界団体代表からの業界内での標準規格への対応について現況、および課題について、小森氏(モリタ)から報告がある。(3)臨床家の視点として、日本歯科医師会から情報化、標準化への取り組みと課題について小野寺氏(日歯)から報告がある。それぞれの報告ののちに、総合討論として演者および参加者による討議を行う。歯科医療の実務に即した診療情報交換について、有意義な意見交換となるよう参加者各位には積極的なご発言を期したい。本企画を通じて、我が国における歯科診療情報の標準化の進捗を俯瞰するとともに、これを広く診療現場に応用するための課題の抽出が期待されるものである。