一般社団法人 日本医療情報学会

[4-E-4-05] 歯科における医療情報標準化及び医療DXの現状と課題

*小野寺 哲夫1 (1. 日本歯科医師会)

Medical Digital Transformation, Medical Information Standardization, Medical Information Sharing, Electronic Medical Record

「骨太の方針2024」では「『医療DXの推進に関する工程表』に基づき、『全国医療情報プラットフォーム』を構築するほか、電子カルテの導入や電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DX、PHRの整備・普及を強力に進める。」と明記され、オンライン資格確認から始まった医療のデジタルトランスフォーメーションは、急速に拡大化している。
 政府が検討している標準型電子カルテは、現在α版の開発が進んでおり、令和7年の始めから一部の小規模医科医療機関において、テスト的に運用されることまで予定されている。その後、改修等を経て本格版をリリースし、全国の医療機関に導入されることを想定している。標準型電子カルテの普及、ひいては全国医療情報プラットフォームを通して全国の医療機関における電子カルテ情報が多くの医療機関等で共有されれば、患者への質が高く安心安全な医療等の提供に繋がると思われる。
 一方、歯科分野の標準型電子カルテについては、前述のα版と並行して検討が進められることと想定しているが、こと標準化という観点で言うと、医科と比べ歯科は遅れていると言わざるを得ない状況である。
 歯科医療情報をビッグデータとして集積すれば、今後の歯科医療において何に力を入れていけばよいか、何が保険に導入できるのか、フレイル予防に何が必要なのかなど、歯科業界の将来的な方向性を含む多くの課題が分析できるようになるのではないか。
 東日本大震災の際にカルテやレントゲン等の医療情報が消失した経験から、歯科医療情報の利活用及び標準化普及事業に関する取り組みが求められ、日本歯科医師会が中心となり「口腔診査情報標準コード仕様」を作成し、厚労省標準規格として採用された。歯科の電子カルテ情報の交換・共有においては同コードの実装を強く要望しているが、歯科が議論の俎上にのぼる際に的確な議論ができるよう準備を進めていきたい。