Japan Association for Medical Informatics

[4-F-2-02] NDBを用いた指標によるCOVID-19感染症の循環器病診療への影響に関する検討

*Katsuki Okada1,2, Yasushi Sakata2 (1. 大阪大学医学部附属病院, 2. 大阪大学大学院医学系研究科)

NDB, Cardiovascular disease, COVID-19

【目的】
2020年以降のCOVID-19感染症は医療提供体制にも大きな影響を与えた。医療計画の対象疾患である循環器病は、循環器病対策推進基本計画の中で、感染症発生・まん延時も対応できる体制の整備を進めるとされており、このためには感染症による影響を評価できる指標も求められる。本研究では、NDBを用いた指標で、COVID-19感染症の循環器病診療への影響を検討できるか評価する。
【方法】
医療計画に記載がある急性心筋梗塞、心不全、急性大動脈疾患に関連する指標として、急性心筋梗塞に対する冠動脈インターベンション(AMI_PCI)、大動脈瘤切除術・ステントグラフト内挿術(AAD_Ope)、心血管疾患リハビリテーション(外来・入院)(OutPt_Reha、InPt_Reha)の月ごとの件数をNDBより算出し、2019年度と2020年度の平均件数を比較した。また、緊急事態宣言が発出された2020年4月を基準に分割時系列解析を行った。
【結果】
月ごとの件数の2019・2020年度の平均は、AMI_PCI、AAD_Opeで変化なく(2,678.8 vs 2,629.9: p=0.319、3,219.5 vs 3,128.0: p=0.181)、InPt_Rehaは増加し(616,409.8 vs 647,354.7: p=0.01)、OutPt_Rehaは減少していた(203,769.7 vs 153,082.4: p<0.01)。分割時系列解析では、基準時点の件数はAMI_PCI、AAD_Ope、OutPt_Rehaで低下を認め(-494.8: p<0.01、-525.9: p<0.01、-78,556.2: p<0.01)、InPt_Rehaは有意な低下を認めなかった(-23,484.0: p=0.311)。基準後の件数トレンドは全て増加を認めた(AMI_PCI 43.6: p=0.029、AAD_Ope 47.7: p=0.049、InPt_Reha 6,061.1: p=0.034、OutPt_Reha 5,594.5: p=0.033)。また、季節性を考慮に入れたモデルも同様の結果であった。
【考察・結論】
第1回の緊急事態宣言の時期は、入院中のリハビリ件数は維持されていたが、急性期の処置・手術、外来リハビリは件数の低下を認めた。その後、これらの件数は、COVID-19感染症下でも改善傾向を認めたが、外来リハビリは前年度程度までは改善せず、外来診療はより強く影響を受けていたことが示唆された。このように、NDBを用いた指標で感染症による循環器病診療への影響を検討できると考えられた。
【倫理的配慮】
大阪大学医学部附属病院観察研究等倫理審査委員会の承認を受け実施した。