Japan Association for Medical Informatics

[4-F-2-03] 構想区域内の入院想定患者の分布を考慮した急性期病院配置の最適化の検討

*Atsushi Nakamura1 (1. 医療データ分析ラボ)

Population Projection, Advanced medical device, Center of population receiving medical treatment, GIS

【目的】山口県の下関構想区域には急性期医療を担う4つの公立・公的病院があるが、地域医療構想調整会議の中間報告で「2病院を統合して3病院体制に移行」が示され、2病院の統合と新築移転が計画されている。
しかしながら、医療計画等では地域全体の総人口は考慮されても、実際の人口分布は考慮されていないことから、新たな医療機関の設置位置が住民の居住地域によっては医療サービスの受療に繋がらない可能性があった。
 演者は前研究でこの急性期病院群の入院診療が地域住民全体に対する入院機会提供に繋がることを意識した入院受療人口を活用して新病院の理想的設置位置の特定を行い、一定の成果を得た。
ただ、これまでは居住地と医療機関間の単純距離による分析であったため、今回はより実情に近づけられるように、移動時間を考慮した分析を行った。
【方法】病床機能報告等の公開情報から新入院患者数、外来患者数、高度医療機器の設置数や検査件数などの医療機関毎のデータを活用し、下関医療圏内での分布状況等を重心分析等により把握し、医療機関での受療の可能性がある住民分布のバランス点である受療人口重心との距離と方位の比較分析を行った。この受療人口重心の算出には距離だけではなく、地域の鉄道網・バス網を考慮した移動時間を加えてより実情に近いものとし、新病院の配置想定なども行い、比較検討した。
【結果と考察】移動時間を考慮した受療人口重心による比較分析により、統合後の新病院の理想的配置位置を特定することができた。これに加えて、今後、他のA・B病院が将来的に建て替えや移転を行う際の規模や配置なども想定できる可能性もあることが判った。
【結語】今回の分析は、病院と有床診療所の入院・外来患者の分析となっているが、今後、無床診療所の外来患者データや疾患別受療患者等のデータが入手できれば、より詳細な地域医療提供により有効な資料の提供できることと考えられる。