一般社団法人 日本医療情報学会

[4-F-3-01] HL7 FHIRを用いた標準化によるPHR相互運用の実現

*小山内 尚1、猿倉 祐輔1、堀之内 省吾1、能崎 克行1 (1. 富士通株式会社)

PHR, FHIR, Data portability, HealthKit, Health Connect

近年、日本では政府により医療DXが推進されており、保健・医療・介護において発生する情報については利活用に向けた標準化の検討やサービスの提供が進められている。 しかしながら、スマートフォン、ウェアラブル端末で個人が測定・記録した健康情報(PHR)については標準化のコンセンサスが取れておらず、情報の交換方式やデータ構造は利活用を進める組織毎に異なっている。主要なモバイルOS(Android、iOS)にはPHRを扱うフレームワークが存在しているが、OSの外部とデータを交換する標準的な方法は定められていない。
【目的】
そこで、PHRを標準化し組織間でのデータ交換、共有を可能とすることを目的として、PHRを対象としたHL7 FHIR実装ガイドを作成した。 医療DXで標準化されているデータと統一的にPHRを扱えるようにするため、規格にはHL7 FHIRを採用する。
【方法】
情報の交換方式はREST APIなど、FHIRが備えるものを採用する。取り扱うデータ項目及びデータ構造については、まずPHRを取り扱うための既存の規格が扱うデータの調査を行う。その後、各データ項目が持つ値や付随するメタデータを整理してデータ構造の定義を行い、合わせてデータの種類、値を表現するためのコード体系の定義も行う。
【結果】
既存規格の調査の結果、仕様を公開している規格にはHealthKit、Health Connect、Open mHealth、Kanta PHRの計4種が挙げられた。この4規格の仕様をカバーするため、341のデータ項目と14のコード体系を含む実装ガイドを作成した。また、この実装ガイドに基づいたFHIRデータを生成するiOS, Androidアプリとそれらを表示するwebアプリを実装し、EHRとPHRを統一的に扱えることを示した。
【考察・結論】
今回作成した実装ガイドに準拠したデータを扱うことで、PHRの相互運用が可能となる。PHRの標準化に向け、本実装ガイドに準拠したシステムの社会実装やデータ項目の拡充を継続して行っていく必要がある。
【倫理的配慮】
本発表を行うにあたり、倫理的配慮が必要となるデータは取り扱っていない。