Japan Association for Medical Informatics

[4-F-5-01] 災害時における透析患者情報の共有に関する意識調査

*Masaharu Nakayama Nakayama1, Mariko Miyazaki1, Keisuke Ido2, Tadashi Ishii2 (1. 東北大学大学院医学系研究科, 2. 東北大学病院)

Hemodialysis, Disaster, Questionnaire

【背景】血液透析はそれを必要とする患者にとって不可欠である一方、大量の水や電気を必要とするため災害に脆弱であることが知られている。当該施設で透析を行えない場合は別の施設での治療継続が必要であり、そのための患者情報の共有も重要である。本研究では、宮城県内の透析施設の医療関係者と透析患者にアンケートを施行し、災害の経験とその対策、および共有に必要な情報について調査した。【方法】2024年1月に郵送で各施設に質問表を送付し、2月に書面およびウェブ双方から回答を受け付けた。【結果】医療スタッフからは71施設およびweb回答により有効回答数383名分、透析患者からは有効回答数538名の回答を得た。回答した医療関係者の職業の内訳は医師 8.4%、看護師 48.3%、臨床工学技士 37.6%、事務担当 4.7%、その他・無記載 1%であった。全体としての職歴は20.1±11.0(平均±標準偏差、以下同様)年で、うち透析業務への関わりが14.6±10.2年であった。ほぼ半数が災害の経験を有していた(49%)。その他、内容の詳細として、院内における患者情報の共有方法、災害時における患者との情報共有手段、自施設で透析が不可となった際に依頼する施設の有無や情報伝達の手順、種々の情報ネットワークの活用について回答をまとめた。一方、回答患者の年齢は65.7±12.3歳で、男性が約64%を占めた。平均透析年数は10.7±9.4年。透析回数は週3回、4時間/回が最多であった。81%の回答者に被災経験があり、25%が通常の施設で透析をすることができないという経験を有していた。そのほか、災害時の連絡手段や自分の透析情報、メールやソーシャルネットワークサービスの活用、および全国医療情報プラットフォームやPersonal Health Recordを用いた透析情報の共有について回答を得た。【考察・結論】年初に能登半島地震が発生したこともあり、改めて血液透析患者に関する災害対策を問い直す機会としたい。【倫理的配慮】東北大学医学部倫理委員会承認済