[4-F-5-02] 地域消防と自治体病院における救急ICT連携の実装
ICT, telemedicine, triage
【目的】地域における救急ICT導入の過程を振り返り、実装に至ったターニングポイント(以下TP)を明らかにする。【方法】<背景>当院は県境の医療圏(人口約4万5千)内唯一の急性期総合病院(自治体病院)である。同医療圏を管轄する広域消防本部の救急搬送件数の約6割は当院である。<救急ICT導入の過程>R5年度にA社ICT(過疎地域持続的発展支援事業)を用い救急搬送約900件(全搬送数の75%)で実証を行ったのち、R6年度からB社ICTを用い当院と消防本部間で救急情報連携(双方の携帯端末を用い原則全例)の実装に至った(R6年6月プレスリリース)<振り返り>実証から実装に至る約2年間、約20回の会議資料を基に振り返りを行い、TPを明らかにした。【結果】<情報量>詳細な情報は状態の把握に貢献するが、多すぎると送受信トラブルにつながる。<user interface>救急隊の活動現場ではより単純な操作方法が求められる。<通信>救急隊はいち早く次の活動に備える必要があり送受信時の通信トラブルは致命的である。特に山間部では通信の不毛地帯が存在する。<mobility>救急隊の活動現場ではポケットに収納可能な小さい端末が適しており、防護カバーにより耐久性の向上も必要である。<役立ち方>救急隊は現場状況をより詳細に伝達できる。病院は受け入れ準備が充実する。<security>ICTが医療情報取り扱いのsecurityレベルに準拠することは必須で、さらにlocalの運用規定を追加しそのレベルを上げる。<コスト>より安価なICTが理想的である。<ICTの選択>より単純でより安価なICTを選択し、情報は最小限とした。実装後3週で約60例に活用し、順調に運用できている。【考察・結論】過程を振り返ると、多くのTPが明らかとなった。ICT実装には消防と病院の相互理解が最も重要であり、まずはスムーズな運用を優先してDXを進めたほうが良いと思われる。また、将来は消防OAとの情報連携も求められる。【倫理的配慮】本発表は当院倫理委員会の承認を得ており、開示COI無し。
