Japan Association for Medical Informatics

[4-F-5-03] 地域医療情報連携ネットワークにおけるカルテ記事の開示有無の要因と利用への影響の調査

*Saki Hirayama1, Yukiko Mori1,2,3, Mayumi Toyama3, Chang Liu3, Goshiro Yamamoto2, Tomohiro Kuroda1,2,3 (1. 京都大学大学院情報学研究科, 2. 京都大学医学部附属病院, 3. 京都大学大学院医学研究科)

Electronic Health Record, Health Information Exchange, Clinical Note Disclosure

【目的】事前調査によって、カルテ記事の開示が地域医療情報連携ネットワークの利用向上に寄与する可能性が示唆されている。本研究では、カルテ記事を開示するに至った経緯と開示・非開示が与える影響を明らかにするための調査・分析方法の設計を目的とする。
【方法】文献調査やパイロットインタビュー調査を通して、調査・分析方法を設計する。
【結果】カルテ開示施設率97.4%の「あじさいネット」と、7.7%の「おきなわ津梁ネットワーク」を対象に両者の違いを明確化することが適切であると考えた。両者の回答の差を明確にする共通質問項目に加え、新たな重要な話題や深堀りしたい点に柔軟に対応するために半構造化インタビューを用いる考えに至った。管理者視点と実務者視点の両方からの意見を得るため、インタビュー対象者は「情報開示責任者または地連NW担当者」と「情報提供者」とした。多様性かつ実用性の高いデータを得るために、地連NW参加者全体から多様な参加者を集う方法と、地連NW関係者から的確な対象者を紹介してもらう方法の併用を採用した。調査内容は、研究対象者の基本情報(部署、職位、入職年数、年代、性別)、カルテ記事の開示可否に関する考えや経験(開示の利点、開示可能な理由、開示への懸念、開示のハードル、非開示である理由)とした。データ解析は、インタビューの録音を逐語録化し、語られた内容から帰納的に概念をまとめるテーマ分析を採用した。
【考察・結論】このインタビュー調査から、カルテ記事開示医療機関では、開示への不安や開示による業務効率化などの前向きな経験が語られることが期待される。一方、カルテ記事非開示医療機関では、プライバシーや情報の悪用への懸念が語られることが予想される。
【倫理的配慮】本研究は、倫理審査の対象とならない。なお、本研究で得られた計画に基づき行う調査については、倫理審査委員会の審査中である。