Japan Association for Medical Informatics

[4-F-5-07] 低コスト普及型IoTデバイスを応用した高齢者にやさしい遠隔医療環境の構築

*Junichi Yamazawa1,2, Yohei Nagai1,3, Hideo Takahashi1, Kaito Shimanaka4, Yuichi Tanaka5 (1. 国保水俣市立総合医療センター, 2. 熊本大学大学院 医学教育部 医療情報医学講座, 3. 熊本大学大学院 生命科学研究部, 4. 国立高等専門学校機構 熊本高等専門学校 機械知能システム工学科, 5. 国立高等専門学校機構 熊本高等専門学校 生産システム工学系MIグループ)

digital divide, Telemedicine, remote medical care, Single Board Computer, IoT device

【目的】
一般的なアプリケーションを利用したオンライン診療は、通信機器の操作が煩雑である事から、高齢者や付添い者にとってユーザビリティが低いという課題がある。現在、高齢者等のIT弱者にとって直感的で優しい情報通信環境が求められており、熊本高等専門学校が開発した「低コスト普及型の遠隔医療支援 IoT デバイス」(以下、「IoTデバイス」)を応用し、高齢者に優しいオンライン診療が可能となる運用開発と検証を行ったので報告する。
【方法】
1.通信機器の準備について、一般家庭でも確保しやすい液晶テレビを利用し、簡単な操作でIoTデバイスが利用できるよう起動方法の検討を行った。
2.従来の汎用PCとIoTデバイスを用いた場合のビデオ通話開始までに要する時間を測定し比較した。
3.従来の汎用PCを用いた場合とIoTデバイスを用いた場合の操作性と今後の期待度について、評定尺度法(リッカート尺度)にて評価を行った。
【結果】
1.液晶テレビを利用した起動方法を検討し、電源ボタン1操作のみでビデオ通話が開始できる高齢者に優しい環境を構築できた。
2.従来の汎用PCを用いたビデオ通話開始までの時間は平均184.7sであった。一般WiFi環境下におけるIoTデバイスのビデオ通話開始までの時間は平均94.1sであった。
3.従来の汎用PCとIoTデバイスの操作性について比較すると、従来の汎用PCでは、「満足」以上が20%に対し、IoTデバイスは80%と非常に満足度が高い結果となった。今後も利用したいか?の問いに対して、従来の汎用PCでは「思う」以上が10%程度であったが、IoT デバイスでは「思う」以上が90%という結果となり、今後の利用について非常に期待度が高いことが分かった。
【考察・結論】
電源ボタン1操作のみでビデオ通話が開始できるIoTデバイスは、操作性および今後の期待度について高い評価であり、高齢者等のIT弱者への実用性が示唆された。
【倫理的配慮】
本演題発表に関連して、開示すべきCOIはありません。