Japan Association for Medical Informatics

[4-G-2-02] 生成AIによる症例報告を元にした医療面接指導用模擬患者シナリオ自動作成の提案と作成シナリオの評価

*Fuka Ogawa1, Shoya Watanabe1, Kunimasa Yagi2, Mikifumi Shikida1 (1. 高知工科大学大学院 工学研究科, 2. 金沢医科大学 医学部)

Medical Interview, Generative AI, Medical Case Report

【背景・目的】
医療面接の指導で使用される症例シナリオの作成には時間と労力を要し、多数作成することは容易ではない.また作成者の意図や作為が現れやすく、診断が導き易いものとなってしまうことも多いように見受けられる.本研究では、学会発表された症例報をベースに生成AIを用いて医療面接用のシナリオを作成し,学生指導に供することでの反応について検討した。
【方法】
システムは先行研究で作成したテキストベースのチャットシステムを使用する.こちらのシステムでは箇条書きでまとめた患者情報をプロンプトに記載している.この患者情報をもとに回答を生成するようになっている.症例報告からは入院時検査所見より前の情報を抜き出し生成AIを用いて情報のまとめ直しと患者背景の追加を行った.本システムと作成したシナリオは実際の教育場面で使用してもらった.症例報告から作成したシナリオを用いた医療面接と既存のシナリオを用いた医療面接を各2回ずつ行ってもらい,その後アンケートに回答してもらった.
【結果】
アンケートから,症例報告から作成したシナリオの方では学生からは実際に起こった症例であるため実際の患者さんを診察する練習になる,珍しい症例であるため疾患や周辺知識を調べる機会になる,というような自身の学びに繋がるという意見が全体の80%を占めていた.一方で,既存のシナリオの方では医療面接のやりやすさが自信に繋がるということがわかった.
【考察・結論】
結果から,症例報告から作成したシナリオは学生の医学的知識をより深める教材として有効であることが考えられる.この学習教材は簡単に作成することが可能であるため,学生の学びの幅を広げる可能性があることが示唆された.
【倫理的配慮】
本研究は、基礎工学研究科における人を対象とした研究に関する倫理委員会の承認を得て、アンケート協力者の個人が特定されないよう配慮を行った.