Japan Association for Medical Informatics

[4-G-2-03] 身体診察演習支援を目的とした骨格情報による診察姿勢の定量的評価

*Shoya Watanabe1, Fuka Ogawa1, Kunimasa Yagi2, Mikifumi Shikida1 (1. 高知工科大学大学院 工学研究科, 2. 金沢医科大学 医学部)

Posture Estimation, Physical Examination, Exercise Support Systems, Medical Education

【目的】身体診察の指導では客観性が乏しく定量的に指導・評価を行うことは困難である。また再現性も乏しく、学生が自身の手技を客観的・定量的に振り返ることも困難である。この会の検討では身体診察の指導に客観性・定量性を付加する方策について検討した。【方法】身体診察中の映像に機械学習モデルを適用することで,リアルタイムに得られる全身の33点の関節座標から、姿勢特徴量を算出し診察スキルとの関連性を調査した。医学部の5年生と、ビデオ教材で身体診察を学習した臨床経験のない大学生、計7名が甲状腺触診、眼瞼結膜評価を含む複数の診察手技を実施した。診察の様子をビデオで撮影し、姿勢情報を取得して、診察指導に関わる基本的特徴量を算出した。得られた特徴量に対してマン・ホイットニーのU検定を実施した。【結果】経験者は甲状腺触診で「患者との重心の距離」が近く (p=0.024)、「腰角度」が大きい(p=0.024)。眼瞼結膜評価で「肘角度」の値が大きい(p=0.036)ことがわかった。未経験者は患者との距離をとりすぎ、前傾で不自然な体勢で診察していた。【考察・結論】患者との距離が離れ前傾姿勢になると、医者の腰や肘には大きな負担がかかり、患者にも不安や不快感を与える可能性がある。経験者は自身と患者の適切な距離感を把握しており、自然な姿勢で手技を実践できていたと考えられた。以上より姿勢特徴量は初心者が基本的な診察姿勢を身につけるうえで有用な客観的指標であり、特徴量をフィードバックする演習支援システムを活用することにより、指導医はより良い指導を行い、学習者は効果的な振り返りを実現できることが期待された。【倫理的配慮】個人情報保護について実験参加者に口頭にて説明し承認を得た。また、金沢医科大学生命科学・医学系研究倫理審査委員会の承認を得た。