Japan Association for Medical Informatics

[4-G-3-02] ePathを活用した業務削減および治験、外来診療の情報基盤について

*hideki nakaguma1, rui sugeta1, yukio kozuma1, saori tou2, kotaro matsumoto2, takanori yamashita2, yoshifumi wakata3, tetsuya matoba2, eri matsuki4, kouta funakoshi2, koji todaka2, naoichi sato2, tomohiro nishina5, shinji hato5, naoki nakashima6, mihoko okada7, hidehisa soejima1 (1. 済生会熊本病院, 2. 九州大学病院, 3. 徳島大学病院, 4. 慶応義塾大学 医学部, 5. 国立病院機構四国がんセンター, 6. 九州大学大学院 医学研究院 医療情報学講座, 7. (一社)医療データ活用基盤整備機構)

ePath, Clinical Pathways, DCT, Learning Health System, PHR

【目的】2018-20年度にAMED事業「クリニカルパス標準データモデルの開発および利活用」(以下、ePath)を実施した。事業後、ePathを活用する事業が実施されてきたため、その成果を報告する。
【方法】ePath事業以降、3つの事業を実施した。RCB事業では経皮的冠動脈形成術パス、カテーテルアブレーションパス、胸腔鏡下肺切除術パスに行動識別センサや問診AIシステムを活用した。DCT事業ではePathで構築した仕組みを活用し、治験で使用する標準化された電子ワークシート(以下、eWS)を作成した。BRIDGE事業では糖尿病パス、外来化学療法パスを作成し、ePathとPHRアプリを連携した。
【結果】RCB事業では上記のパスでアウトカムの削除やアセスメントの適正値変更によるバリアンス記録の記載回数の削減、セスメントの評価回数の削減などで、パスを改定した。さらに、パス改定前後の効果検証では術後在院日数の延長、出来高換算額の増額は認められなかった。ICTを含めた削減シミュレーションの結果では、医師は約5.4~9.0%の時間が削減できた。DCT事業ではドメイン、変数名の自動取り込み機能の充実や施設やベンダーを越えたeWSのインポート/エクスポートも可能となり、2度の模擬治験では、データの精度、が向上できたとの評価だった。BRIDGE事業では設定したOAT Unitは患者自身の手入力やIoTで連携し、Learning Health System(以下、LHS)機能を搭載したPHRアプリで評価可能とした。その結果をePathに連携し、医療者による総合的に評価できたため、運用の効率化が認められた。
【考察・結論】RCB事業ではLHS2周目で終了したが、3、4週目と実施し、さらなる業務削減を実施することが重要と思われる。DCT事業での模擬治験での評価ではレスポンス、利便性などが課題であった。BRIDGE事業での実証での評価ではPHRアプリの質問の表現や数、医療者への結果の見せ方、標準規格での連携などの課題が生まれた。今後も医療の質向上のため、上記事業での課題を解決し、ePathの利活用促進や普及、改善について、継続的に活動していきたい。
【倫理的配慮】本成果は、倫理委員会の承認を得て、研究対象者が特定されないよう配慮した。