一般社団法人 日本医療情報学会

[4-H-1] 統合型ヘルスケアシステムを用いた新たな知識発見への展望

*中山 雅晴1、的場 哲哉2、興梠 貴英3、河添 悦昌4、石見 拓5、甲谷 友幸3、牧元 久樹3、佐藤 寿彦6 (1. 東北大学大学院医学系研究科、2. 九州大学病院、3. 自治医科大学病院、4. 東京大学大学院医学系研究科、5. 京都大学大学院医学系研究科、6. 株式会社プレシジョン)

医療・ヘルスケア版 Society 5.0構想において、情報技術の進化により人間の身体と生理機能、行動をデータ化し、個別化された医療を提供することが目指されている。しかしながら、現状の病院情報システムにおいて、疾患特異的な診療情報を含めたデータ統合は不十分であり、患者自身が保有するパーソナルヘルスレコード(PHR)やウェラブルデバイス由来のデータと電子カルテとの連携や実活用も容易ではない。 我々はこれまで循環器疾患を対象としたレジストリデータを構築してきた (Clinical Deep Data Accumulation System: CLIDAS)。CLIDASは、通常の患者基本情報や病名、採血結果、処方データに加え、冠動脈インターベンションやカテーテル検査、心電図、心臓超音波検査などの循環器固有のデータと、アウトカム情報とを収集する臨床情報プラットフォームであり、多くの臨床研究に活用されている。今回、戦略的イノベーション創造プログラム「統合型ヘルスケアシステムの構築」(PD永井良三)の一プロジェクトとして、他プロジェクトと密に連携しながら、多種多様なデータの統合と規模の拡大を展開し、臨床情報プラットフォームとしてさらなる発展を目指している。その基盤をもとに、大規模言語モデルの開発や医療デジタルツインの構築を経て、新たな医学知識の創出と、社会還元するソリューション開発を実証する計画である。本ワークショップでは、1)CLIDASインフラとその詳細、2)FHIRを用いた病院情報システムにおけるデータ統合と活用、3)PHRを活用したデータ収集とデータ連携による新たなサービスモデルの構築とPHRの標準化、4)統合されたデータを活用した臨床研究、5)機械学習を用いた知識発見、6)生成AIを用いた業務効率化とデータ収集、を中心に、各プロジェクトの詳細や今後の展望について説明する。