Japan Association for Medical Informatics

[4-H-1-03] PHRを活用したデータ収集とデータ連携による心臓突然死予防サービスの研究開発・実装とPHR標準化の試み

*Taku Iwami1 (1. Preventive Services, Kyoto University Graduate School of Medicine)

医療DX実現が求められる中、個人の健康情報を活用した健康管理・増進の仕組みとして、パーソナルヘルスレコード(PHR)に注目が集まっている。PHRを通じて収集されるライフログデータ(日々蓄積される家庭血圧、体重、脈拍や活動量等)やPRO(Patient Reported Outcome)等の医療での活用、医療データとの統合による新たな知見の獲得、医療・ヘルスケアサービスの開発・提供が期待されている。
 我々は、内閣府の統合型ヘルスケア構築事業の一環として、PHRを通じてウェアラブルデバイス等から日々蓄積されるライフログデータを収集するとともに医療データと統合することで、従来予知が困難であった突然の心停止を予知し心臓突然死を予防するサービスの実装を目指した取り組みを進めている。わが国で発展が期待されるPHRは、世界に誇る国民皆保険制度を基にした医療データ、各種健診データと統合できる可能性があり、世界的にも貴重な医学研究、新たな医療・ヘルスケアサービスの発展が可能な基盤となる可能性を秘めている。
 PHRを活用したデジタルヘルスケア、医療DXの実現には、PHRサービスに関わるルールの整備、標準化を進めていく必要がある。これを実現するためには、医療やヘルスケアサービスを提供する側が、データを共有(流通)し、活用すれば従来以上に健康・医療・介護に関わるサービスの質が向上すること、効率化することを理解し、社会基盤としてPHRを発展させる取り組みが必要となる。我々は、良質なPHRサービスの普及を目指し、PHR普及推進協議会を立ち上げ産官学民一体となったルール作り、PHR標準化の取り組みを進めている。本人・家族の意思のもとで生涯にわたって健康・医療情報を活用できる社会の実現に向けて、PHRを活用したデータ収集とデータ連携による新たなサービスモデルの構築とPHRの標準化の試みの現状を紹介する。