Japan Association for Medical Informatics

[4-H-1-04] CLIDAS研究におけるデジタルツインと産学連携の実際

*Tomoyuki Kabutoya1, Inoki Yutaka1, Sato Hisahiko2, Imai Yasushi1, Matoba Tetsuya3, Nagai Ryozo1 (1. Jichi Medical University, 2. Precision Inc., 3. Kyushu University)

collaborative research, academia, clinical study, heart failure.

われわれは、国内13施設において心不全患者を対象としたCLIDAS-HFデータベースを構築した。CLIDASデータベースはSS-MIX2に集められている電子カルテ本体由来の検査データ、処方データなどと、データマネージャーが集めた予後などカルテ情報からなる。CLIDASを基にシミュレーションを行い、社会にフィードバックすることを目標とする。CLIDASは医療デジタルツインであり、アカデミアによる知識発見、産学連携によるフィードバック、さらにはよりよい医療につなげていく。
 臨床研究における産学連携には変化が起こっている。臨床研究法で研究の責任はアカデミアにあり、製薬企業が考案する承認後の自社製品の効果や安全性などを臨床研究として行う場合、企業発案型の共同研究として行われることが多い。そして、共同研究への資金提供は寄付ではなく投資、ビジネス意味合いが強くなっている。したがって、共同研究は製薬企業にとって投資対効果が求められるが、アカデミアは企業の投資に見合う成果が求められる。
 以前にわれわれは国内7施設で虚血性心疾患患者を集めたCLIDAS-PCIデータベースを用い、いくつかの成果を出した経験から、CLIDAS-HFで得られるデータと予想される可能な解析について、ある程度予測することができる。産学連携にあたり、①産学連携に賛同いただく企業の選定、②企業との面談とアイディアの擦り合わせ、③具体的な研究計画の立案と予算の擦り合わせ、④アカデミアとしての倫理的問題の配慮、などが必要になる。企業の求める費用対効果のある解析がどの程度可能か、双方でよく検討することが求められる。
 本シンポジウムでは、CLIDAS-HF研究の成り立ちと産学連携の構築について、さらに現代の産学連携による共同研究と持続可能なアカデミアの臨床研究について議論していきたい。