一般社団法人 日本医療情報学会

[4-H-1-05] 機械学習を用いた循環器疾患における新たな知識発見の試み
- リアルワールドデータでの予後予測因子の探索 -

*牧元 久樹1、興梠 貴英1、甲谷 友幸1、小寺 聡2、佐藤 寿彦3、中山 雅晴4、藤田 英雄5、的場 哲哉6、永井 良三1 (1. 自治医科大学、2. 東京大学、3. 株式会社プレシジョン、4. 東北大学、5. 自治医科大学附属さいたま医療センター、6. 九州大学)

Real World Data, Machine Learning, Prediction, AutoML

われわれは、国内13施設が参加した循環器疾患に関するレジストリデータベース「Clinical Deep Data Accumulation System (CLIDAS)」を構築し、多くの臨床研究に利用してきた。CLIDASは、患者の基本情報や病名、検査結果、処方データに加え、冠動脈インターベンションやカテーテル検査、心電図、心臓超音波検査などの循環器疾患特有のデータを収集しており、豊富なデータセットを提供している。ビッグデータが取り扱われる機会の増加とコンピューティング技術の発展に伴い、機械学習技術の進歩は目覚ましいものがある。従来の統計学的手法では難しかった大量の非線形データの取り扱いやその可視化、これまでに気づかれていなかった特徴量の抽出などが可能となる事例も報告されている。CLIDAS研究グループでは、本データセットを用いて機械学習技術による新たな知識発見を目指している。具体的には、循環器疾患の予測モデルを構築し、疾患の早期発見や治療効果の評価を行うことを目的としている。さらに、患者個別のリスクファクターを特定し、個別化医療の実現に向けた新たな知見を得ることを目指している。機械学習によるデータ解析を通じて、これまでは別個に分析・解析されていたデータが統合され、新たなバイオマーカーの発見や治療戦略の最適化が図れる可能性がある。これらの統合されたデータに基づき、臨床現場での診断精度の向上や治療方針の決定に寄与することが期待される。本シンポジウムでは、これまでに得られた成果と今後の展望について報告し、機械学習を用いた知識発見の可能性と課題について議論する。特に、CLIDASを基にした循環器疾患の解析や新たな研究方向性についての意見交換を行い、医療の質の向上と個別化医療の実現に向けた新たなアプローチを模索する。