一般社団法人 日本医療情報学会

[4-H-2] 健康に対する個別最適化支援を実現するための、SDHを考慮したデジタルヘルスの活用と今後の課題

*渡邊 佳代1、青木 美和2、大江 和彦2、宮沢 春菜3、岡田 美保子4、佐藤 美寿々5、山田 恵子6、佐々木 由樹7 (1. 川崎医療福祉大学 医療福祉マネジメント学部、2. 東京大学大学院医学系研究科、3. 新潟大学医歯学総合病院、4. 医療データ活用基盤整備機構、5. 北海道大学大学院歯学研究院、6. 埼玉県立大学、7. 株式会社Wellmira)

Digital Health, Social Determinants of Health, Personalized Health Support, Common Risk Factor Approach, Artificial Intelligence

健康寿命の延伸や医療費の適正化といった課題に対して、自身の生活状態を客観的に把握し、管理することが求められる現在、運動、口腔保健、栄養、休養などの観点から日常生活データの取得と、行動変容による生活習慣病の重症化予防や症状の改善、さらにはQOLの向上を目的とした健康支援アプリを中心としたデジタルヘルスツールが多く実装され始めている。しかし、医療記録においては、疾病に繋がる生活要因などの情報の多くは登録されておらず、されていたとしても粒度が低いのが現状である。これらの情報を適切な形で取得できて初めて、医療・健康領域における一貫したエビデンス生成につながる研究が可能になると考えられる。PHRの最終像は、個別最適化支援(Personalized Health Support)であろうが、そのためにはSDH(健康の社会的決定要因:Social Determinants of Health)を考慮する必要がある。しかし、SDHをどのように記述し、デジタルヘルスに組み込むか、そもそもデジタルヘルスに必要なSDHは何かなどは、現時点では明らかになっていない。
そこで本ワークショップでは、運動疫学、口腔保健、臨床栄養、公衆衛生などの領域で、デジタルヘルスツールの開発・活用の実践例やSDHに関する研究動向などについての話題提供を行い、各領域の課題と、それに対しての取り組みを参加者で共有する。その上で、生活習慣の改善・維持、生活習慣病予防に寄与し、健康増進に繋げるための記述方法や活用、必要とされる情報基盤等を、医療情報学という共通土台の上で、オープンなディスカションを行うことで、運動、口腔保健、栄養、休養等の効果測定に必要な保健医療情報の環境が形成されていくための一助となることを目指す。