Japan Association for Medical Informatics

[4-H-2-02] 国際統計分類を基に個人について取得すべき情報を考える

*Kayo Watanabe1, Haruna Miyazawa2, Mihoko Okada3 (1. Faculty of Health and Welfare Services Administration, Kawasaki University of Medical Welfare, 2. Niigata University Medical and Dental Hospital, 3. Institute of Health Data Infrastructure for All)

健康日本21(第三次)では、全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現に向け、誰一人取り残さない健康づくりの展開とより実効性をもつ取組の推進が目標に掲げられている。具体的には、生活習慣の改善および定着、社会とのつながり・こころの健康の維持及び向上、自然に健康になれる環境づくりなどである。Booskeらが米国4州のデータを基に社会的要因の健康への影響を分析した結果、医療体制・診療の質が20%、社会経済的要因が40%、健康に影響する生活習慣が30%、環境因子が10%であった。また健康格差を生み出す要因として、健康に大きな影響を与えるのは貧困であり、その影響で社会的孤立・孤独にもつながる。健康格差や社会的孤立・孤独を緩和するために医療機関における社会的処方が期待されている。
以上の背景から、健康の社会的決定要因(以下 SDH)を医療機関が把握する意義は大きいと考えるが、それらの情報は電子カルテシステムにほぼ登録されていない。またSDHは連携する各施設で共有すべき情報であり、2次利用することにより新たな知見を得る可能性があると考えるが、その情報交換の仕組みは用意されていない。
そこで、健康日本21(第三次)の健康寿命の延伸と健康格差の縮小に関する目標のうち、個人の目標に置き換えられる目標が、ICD-11、ICD-11 V章、ICFにより、どの程度記述できるかマッピングを行った。36目標のうち病名はICD-11、睡眠やバランスの良い食事、就労含む社会とのつながり等はICD-11 V章およびICFで記述できた。摂食機能はICFのみで記述でき、過労働時間はいずれも記述できなかった。ICD-11を含む国際統計分類は、いずれHL7FHIRで使えるようになる可能性があることからも、ICD-11はSDHを含む個人を記述するコードとして有用であると考える。