一般社団法人 日本医療情報学会

[4-H-4-03] ちょっと違うかも!「マネジメント目線」で見る病院DXとは・それを踏まえた自院取組み

*瀧口 直彦1 (1. 兵庫県立尼崎総合医療センター)

病院DXは、効率化・省力化・標準化などをもたらす便利ツールとしてのICTを取りそろえる事では決してない。それは“ICT化”という世界感であり、Transformationを引き起こし、客体(ここでは医療機関)そのものの姿・形を変えていくという変容が伴ってこそ初めてDX化という用語に値するものと考える。ICTツール等は、DX化に向けた手段・プロセスであって、DX化の目的とは異なる点をマネジメントの立場からお伝えする。最小労力・適正範囲の投資で最大の効果や利得を得るという経済的合理性をDX化というミッションの中で達成するに当たり、医療機関における最適ターゲットは、最大のヴォリュームゾーンを有する看護領域だと言える。考えてみれば分かるシンプルな事実として、病院における総労働時間に占める看護領域の比率は極めて高く、看護領域労働時間をICTツール等でムダムラを省き省力化・最適化できれば、単純な時間外勤務手当コストの縮減という直接的な経済的効果のみでなく、削減労働時間をより手厚い看護ケア・密度の高い患者家族とのコミュニケーションなどに割り当てれば、病院としてのブランディングに大きく寄与するであろう。また、削減労働時間は他職種とのタスクシフトに繋がる余地も大きく、病院全体としての働き方改革への貢献も必然的効用として顕在化するものと考える。繰り返すが、DX化の恩恵を受けるべき、換言すればDX化による業務スマート化の病院にとっての最も効果の大きな部署は看護部。兵庫県病院局のDX化Pilot事業として、2024年3月に我々の病院をFieldとして行なわれた、電カル⇆Wi-Fi(スマートポンプ)を繋ぐ中間サーバー&スマホを活用した病棟業務スマート化取組みの成果と今後展望を紹介。取組み前後のポンプ対応時間の変化、スマホチャット機能の有用性を定量・定性の両面からエビデンスとして提示し、新たな病棟看護業務のあり方を提言し、看護の質向上に寄与したい。