[4-I-1-01] DCTにおける施設間の安全なデータ送信システムの試作
Decentralized Clinical Trials, Digital Transformation, Medical Information security
【背景・目的】分散型治験(DCT)の普及が国内外で加速する中、本院でも医師主導治験において、早期の患者登録を目指しDCT導入を行っている。治験パートナー施設から治験患者の各種検査データを転送するアプリケーション「DCTデータ共有システム」(以下、本システム)を設計し、クラウド経由で本院の電子カルテへデータを格納する仕組みを構築したので報告する。【方法】本システムは以下の方針で設計・試作した。1.治験患者情報の登録:初めに本院の医事会計システムで対象治験患者の患者IDを発番し、電子カルテを作成する。次に、本システムと医事会計システムを連携させ、治験患者情報を本システム内に自動取得する。続いて、パートナー施設側にてパートナー施設の患者IDを本システムに入力する。2.各種検査データの格納:パートナー施設にて、各種検査データの原資料を電子カルテから、紙面またはCD/DVDで出力後、附属のスキャナ・光化学ドライブから患者訪問単位ごとに暗号化し、クラウドへ格納する。3.各種検査データの取得:本院のサーバからクラウドへは30分間隔でアクセスを行う。各種検査データはパートナー施設ごと・患者ごとにクラウドに格納され、復号化したうえで、電子カルテの対象治験患者に文書情報として自動取得する。4.オンライン診療:本院担当医は、パートナー施設側担当医・患者とオンライン診療サービスを用いて、本院電子カルテに取り込まれた各種検査データを参照しながら診察を行う。【結果・考察】本システムと医事会計システムとの連携、また、パートナー施設でアップロードした患者情報や各種検査データはシステムを介して対象治験患者の電子カルテ内に直接格納されることで、データの一貫性が担保される。また、データ授受をクラウド化したことで、ほぼリアルタイムのデータ転送が実現され、治験運営の効率化が図れる。今後、本システムを英語対応し、タイなど国境を越えたDCTを試行する予定である。将来的にはパートナー施設の電子カルテ情報を直接取り込むシステムを検討していく。
