Japan Association for Medical Informatics

[4-I-2-02] 専門家の外見を持つ対話エージェントが患者の継続的な自己開示に与える影響

*Kense Todo1,2, Satoshi Takahashi1, Atsushi Yoshikawa1, Masayuki Yamamura2 (1. 関東学院大学理工学部, 2. 東京工業大学情報理工学院)

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本研究の目的は、専門家の外見を持つ対話エージェントが患者の継続的な自己開示の意欲を向上させるかを示すことである。専門家の外見を持つ対話エージェントは、患者に信頼感を与え、自己開示の意欲を向上させる。しかし、これが患者の継続的な自己開示の意欲に影響するかは明らかではない。
】本研究では、専門家の外見によって利用開始時の自己開示の意欲が高まる患者は、継続的な自己開示の意欲も高まるという仮説を立て、2つの実験で検証する。対話エージェントから受ける印象は年齢及び性別といった患者の属性によって異なるため、患者の属性を考慮した実験を行う。第1実験では、専門家の外見を持つ対話エージェントによって利用開始時の自己開示の意欲が高まる患者の属性を選定する。第2実験では、第1実験で選定した属性群に対して対話エージェントを用いて、外見の有無による継続的な自己開示の意欲を調査する。また今回は専門家の外見として、医師、男性、年配の特徴を持つイラストを用意した。
第1実験は、30歳から60歳の男女を対象にクラウドソーシング上で対話エージェントを模した画面を表示させ、自己開示の意欲をアンケート調査する。参加者に歯科の抜歯を想定したロールを与え、画面上の模擬的な対話エージェントに対する自己開示の意欲をリッカート尺度で評価させる。取得したデータを専門家の外見の有無でU検定により比較する。
第2実験は、第1実験で選定した対象に対し、専門家の外見の有無による対話エージェントに対する対話回数および文章量を評価させる。また対話終了時に、参加者に自己開示の意欲をリッカート尺度で評価させる。これらを比較することにより、仮説が正しいかを検証する。
本研究は、患者を継続的な自己開示に導くために、医療分野での対話エージェントにおける専門家の外見の重要性を示すものである。
本研究は関東学院大学の「人に関する倫理審査委員会」並びに東京工業大学の「人を対象とする倫理審査委員会」の承認を経て実施したものである。