Japan Association for Medical Informatics

[4-I-4-02] ePathを活用したアウトカム予測モデルの開発〜胸腔鏡視下肺切除術(VATS)パス症例を対象として〜

*Saori To1, Koutarou Matsumoto5,1, Takanori Yamashita2, Yoshifumi Wakata3, Hideki Nakaguma4, Asato Hashinokuchi2, Fumihiko Kinoshita2, Tomoyoshi Takenaka2, Kazunori Iwatani4, Hidehisa Soejima4, Naoki Nakashima5,2, Masahiro Kamouchi5,1 (1. 九州大学大学院 医学系学府, 2. 九州大学病院, 3. 国立病院機構九州医療センター, 4. 済生会熊本病院, 5. 九州大学大学院 医学研究院)

Clinical pathway, ePath, Video-assisted thoracic surgery (VATS), Real world data (RWD)

【目的】近年、リアルワールドデータ(RWD)の活用が注目され、機械学習を用いたアウトカム予測モデルが本邦でも数多く報告されるようになってきた。RWDは多様で膨大な情報を利用できる一方、データ欠損やバイアスの影響は大きく汎化性の高い予測モデルの構築は容易でない。本研究ではePath基盤を活用した高精度のアウトカム予測モデルの開発を試みた。
【方法】九州大学病院に入院したVATSパス適用症例を対象に、ePath基盤を通じてバリアンス、DPC、SS-MIX2のデータを抽出した。アウトカムをドレーン抜去遅延とし、LASSO、RIDGE、ElasticNet、RandomForest、Xgboostを用いた予測モデルを構築した。モデル性能はROC 曲線下面積、calibration plotで評価し、5分割交差検証により内部検証、済生会熊本病院のVATSパス適用症例にて外部検証した。
【結果】予測モデルに投入する説明変数として、アウトカム依存の欠損や症例数を勘案したカットオフ値以上の欠損率の変数を除外し、489個の変数を得た。単変量解析にてアウトカム有意な説明変数を選択し、MissForestによる代入有無、機械学習モデルの選択、変数選択によるモデル性能の変化を検討した結果、完全症例に対し7個の説明変数を用いたスパース回帰による予測が、内部検証、外部検証とも最も予測精度が高かった。
【考察・結語】ePath基盤を介して網羅的に変数を収集し、バイアスを最小限にする処理を行い、高精度のアウトカム予測モデルを開発した。現在、九州大学病院においては約200パス、2万症例がePath基盤に蓄積されており、他のパス・アウトカムに対しても同様な予測モデル構築が可能か更なる検討が求められる。
【倫理的配慮】本研究は九州大学の医に関する倫理委員会の承認を得て実施した。(許可番号: M23082-00)