[4-I-4-04] モバイルヘルスケアアプリ「アスマイル」の利用開始による身体活動量の増加効果
Mobile Health, mHealth, Physical Activity, CausalImpact, Causal Infarence
【目的】生活習慣病は個人の生活習慣の改善によって抑制可能であるが,健康的な生活習慣の改善や継続は容易ではない.近年,生活習慣改善のためのツールとして,モバイルヘルスケアアプリが注目されており,これらのアプリを利用することで,運動習慣が改善する可能性がある.しかし,モバイルヘルスアプリを用いた研究は,小規模な集団に留まることが多く,大規模な集団での研究報告は少ない.本研究は,大阪府運営のヘルスアプリ「アスマイル」を用いて,アスマイルへの新規加入による歩数増加効果の検証を目的とする.【方法】本研究では,2020–2023年度にアスマイルに新規加入した20–70代の大阪府民を対象とする.このうち,アスマイル加入日から前後4週間の歩数記録があり,かつ毎週1日以上歩数データが存在する73,932名を解析対象とした.日々の歩数には,スマートフォンの標準的なヘルスケアアプリから自動連携されるデータを利用した.解析にはCausal Impactを用い,アスマイルへの加入がなかったと仮定した際の予測された歩数データと実際の歩数データの差分から歩数増加効果を推定した.また,性別や年齢,平均歩数や加入時期で層別化し,歩数増加効果の層別解析を行なった.【結果】解析対象者73,932名のうち,男性は39.2%,平均年齢は51.7±13.2歳であった.また,加入以前の平均歩数は5,923±4,860歩であり,春に新規加入したユーザーが最も多かった(46.8%).集団全体では,アスマイル加入により4週間で平均10,041歩 (95%CI: 9,632–10,450)の歩数増加効果が確認できた.層別解析の結果,加入時の年齢が若いほど,加入前の平均歩数が少ないほど歩数増加効果は大きい傾向にあった.また,春や秋に加入した集団の歩数増加効果は大きく,夏や冬では小さかった.【結論】大阪府営のヘルスアプリ「アスマイル」を利用することで,身体活動量が増加することを明らかにした.身体活動量の増加によって,減量などの健康増進に役立つと期待できる.【倫理的配慮】本研究は本センター倫理委員会の承認を受け実施しており,すべてのデータは大阪府によって匿名化され,個人が特定できない状態で提供されている.
