Japan Association for Medical Informatics

[4-I-4-05] CTG特徴量を⽤いた新⽣児の健康状態に関する因果探索

*Hayato Kinoshita1, Hiroaki Fukunishi1, Chihiro Shibata2, Toyofumi Hirakawa3, Kohei Miyata3, Fusanori Yotsumoto3 (1. 東京工科大学大学院 バイオ・情報メディア研究科, 2. 法政大学 理工学部, 3. 福岡大学 医学部)

Neonatal asphyxia, Cardiotocography, Causal discovery

【目的】
近年、産科の臨床現場において AI を活用した CTG 判読支援が注目されている。本研究は、深層学習を用いた因果探索アルゴリズムを利用し、CTG 波形から抽出した特徴量と新生児の健康状態を示す Apgar Score との因果関係を推論することで、CTG 判読を支援することを目的とする。
【方法】
使用データは、3 万件規模の CTG データを含むデータセットから抽出した。CTG 系特徴量は、日本産婦人学会の診療ガイドラインに基づき、出産の 50 分前から 20 分前までの 30 分間の胎児心拍数の波形から抽出した。因果探索アルゴリズムには、有向非巡回グラフ(DAG)を効率的に探索する、深層学習ベースの Structural Agnostic Modeling(SAM)を用いた。因果効果の推定には、パス解析を用いて、特徴量同士の結びつきの強さを推定した。
結果】
因果探索の結果、良好な適合度とされる RMSEA が 0.05 未満の因果グラフを複数推定することに成功した。ほぼすべての因果グラフにおいて、基線細変動に関する特徴量が Apgar Score に関係していた。その他の特徴量との組み合わせでは、基線細変動から変動一過性徐脈を経由して、Apgar Score に影響しているものが高い頻度で
現れた。
考察・結論】
本研究では大規模なCTGデータベースを用いて CTG 系特徴量と Apgar Score の因果関係を推論できることを示した。未知の特徴量間の因果関係に関しては、医学的な検証が必要となるが、産科医による CTG の判読を支援に繋がる可能性を示した。
倫理的配慮】
本研究は福岡大学医学部に関する倫理委員会(H17-1-07)の承認を得ている。また、本研究における医療情報の使用はすべての患者からインフォームド・コンセントを得ており、関連するガイドラインおよび規則に従って行っている。