一般社団法人 日本医療情報学会

[4-J-1-03] 集中治療室(ICU)におけるSOFAスコア自動計算ツール開発について-(人的ミスの排除と負担軽減を目指して)-

*奥田 興司1、岡 隆紀2、林田 恭子3、山﨑 祐嗣4、楠 陽子5 (1. 社会医療法人愛仁会 高槻病院 医療情報科, 2. 社会医療法人愛仁会 高槻病院 心臓血管外科, 3. 社会医療法人愛仁会 高槻病院 集中治療科, 4. 社会医療法人愛仁会 高槻病院 看護科, 5. 社会医療法人愛仁会 高槻病院 診療支援部 病棟医事課)

Sequential Organ Failure Assessment (SOFA), ICU, DWH, Inspection Data, Automatic Score Tool

【背景】
2024年度診療報酬改定により、ICUにおける患者の重症度評価が「看護必要度」と「SOFAスコア」の組み合わせに変更されました。これにより、入院患者のバイタル情報や検査結果等を用いた評価と計算が必要となり、職員の業務が増加しました。当院では、電子カルテシステムと重症病棟支援システムの相互連携ができず、SOFAスコアの自動計算機能も提供されないため、手作業での情報収集が必要となり、抽出漏れや計算ミスが問題となりました。
【目的】
作業時間の効率化、正確なデータ抽出、評価の標準化を目的として独自のツール開発を行いました。
【方法】
富士通DWHサーバを参照元とし、Microsoft Visual Studio C#を使用して抽出ツールを作成しました。電子カルテに記録されたバイタル情報、検査データ、テンプレートからスコア化に必要なデータを抽出し、SOFAスコアを計算して結果を表示します。計算結果はカルテ記事に手動で貼り付け、医事課はDPC算定用コードを医事システムに反映させます。
【結果】
開発したツールにより、SOFAスコアの計算と評価が効率化されました。ただし、電子カルテへの自動連携は実現できていません。
【考察】
自院での開発により、いくつかの課題が発見されました。例えば、診療科によってSOFAスコア化に必要な検査内容が含まれていない場合があるため、対象落ちとなるケースをリアルタイムで検知チェックする機能の構築が今後の課題となっています。また、具体的な有用性やデータ(作業時間の短縮率、エラー率の減少など)を示すことができなかったため、今後はこれらのデータを収集し、示していく必要があります。
【倫理的配慮】
本開発および運用にあたっては、患者情報の取り扱いに十分注意し、個人情報保護法および院内規定を遵守しています。データの抽出および利用については、必要最小限の範囲内で行い、セキュリティ対策を徹底しています。