一般社団法人 日本医療情報学会

[4-J-1-05] タブレット端末を用いた患者問診情報収集と、初診時医師記録作成支援の試み~第2報~

*白濵 隆太1,2,3、川北 良樹1,3,4、西井 鉄平1,5、近藤 葉子1,2、菅坂 瞳1,2 (1. 公立大学法人横浜市立大学附属市民総合医療センター, 2. 同 管理部医事課診療情報管理担当, 3. 同 看護部, 4. 同 診療支援部, 5. 横浜市立大学 医学部 医療情報学)

tablet devices, medical interview system, physician’s record at the time of the first visit, DX

【目的】前回の本学会において当施設より「タブレット端末での問診票システム(MegaOak Template for問診)の導入」について報告した。初診時に必要な問診情報は患者自らが入力、登録することで、情報が即時に電子カルテに反映される仕組みを構築した。医師が初診時記録を作成する際には、登録された問診票情報から必要な項目が自動的に反映され、医師が転記する手間を削減した。問診票の記入から回収、スキャンに至る一連の作業に要する時間短縮と、初診時医師記録作成の省力化に一定の効果が期待できた。今回の報告では、効果測定の結果から得た知見と、対象診療科の拡大にむけた取組みを報告する。【方法】患者がタブレット端末に入力する時間を直性観察法で計測し、入力後の端末回収時に「入力に際して困ったことはなかったか」を確認した。また、初診外来を担当する医師には、タブレット端末導入の効果についてアンケートを実施した。さらに、効果測定の結果を参考にして、タブレット端末問診システムの効率的な作業手順と得られる効果をまとめた動画を作成した。各診療科へ動画を用いて説明することで、円滑な運用拡大に努めた。【結果】具体的な数値結果は、詳細抄録で述べるが、タブレット端末による問診入力に要する時間は、年齢に比例して長くなるものの、使用にあたっては肯定的な意見が比較的多かった。ほとんどの患者で、自力で入力することができていた。初診担当医師へのアンケートでは、初診時記録に要する時間において、一定の削減効果が示された。運用拡大にあたって説明動画を作成したことで、未導入診療科の理解を円滑に得ることができた。【考察・結論】今回の検証では、初診時における電子的な情報集約が、医師の働き方改革と患者サービスに寄与することが示唆された。【倫理的配慮】医師のアンケートへの参加は自由意志とし、得られた情報は個人が特定されることがないように匿名化した。